乳がん11年生!30歳でステージ3Cの乳がんが発覚した、現在43歳の女性の体験談です。
基本情報
| ステージ | ⅢC |
|---|---|
| 告知時の年齢 | 30歳 |
| 現在の年齢 | 43歳 |
| サブタイプ | トリプルポジティブ |
| Ki-67 | 70 |
| 核グレード | 3 |
| 組織学的グレード | 3 |
| 乳がんの種類 | 浸潤性乳管がん |
| 遺伝性の有無 | なし |
| 腫瘍径 | 6cm台 |
| 静脈侵襲 | あり |
| リンパ管侵襲 | あり |
| リンパ節転移 | あり(腋窩・内胸) |
| 手術の内容 | 全摘手術(腋窩リンパ節郭清あり) |
| 乳房再建 | した(自家組織・お腹) |
| 行った治療 | ホルモン療法 抗HER2療法 化学療法(抗がん剤) 放射線治療 |
| 関連ページ | ・30代の体験談 ・AYA世代の体験談 ・トリプルポジティブの体験談 |
食事について実践していること
30歳での告知、しかも局所進行がん(ステージⅢ)で見つかったため、最初の数年間は藁にもすがる思いで、様々な食事療法を試しました。
がんに関する本を読みあさり、肉や乳製品、白砂糖を完全に断つストイックな生活を送ったこともあります。しかし、友人との外食も楽しめず、食べたいものを我慢する生活は、かえって大きなストレスになりました。
今は「神経質になりすぎず、体に良いものを楽しくいただく」という考え方に落ち着いています。
具体的には、抗酸化作用を期待して色の濃い野菜(パプリカ、ブロッコリー、トマトなど)を毎日たっぷり摂ること、発酵食品である味噌や納豆を欠かさないことを意識しています。
おやつには甘いお菓子ではなく、ナッツやドライフルーツを選ぶように。お酒も好きですが、飲む量を減らし、休肝日を週に3日は設けています。
完璧を目指すのではなく、8割くらいできればOKというゆるいルールが、10年以上続けられている秘訣です。
※参考:がんに良い食べ物・寛解した人たちが取り組んでいる食事法
運動について実践していること
告知前は、仕事の忙しさを言い訳にまったく運動をしていませんでした。術後、フルコースの治療で体力はゼロになり、少し歩くだけで動悸がするほどでした。
主治医から「再発予防のためにも運動はとても大切」と聞き、まずは体力をつけるためにウォーキングから始めました。
体力が戻ってきてからは、週に2回、市営のジムに通うようになりました。筋トレで筋肉量を維持することと、有酸素運動で心肺機能を高めることを目的としています。
特に、抗がん剤やホルモン療法の影響で骨密度が低下しやすいと聞き、骨に刺激を与えるためにも筋トレは重要だと考えています。
平日はなかなか時間がとれませんが、通勤時に一駅分歩いたり、エスカレーターではなく階段を使ったりと、日常の中でこまめに動くことを心がけています。
運動は「やらなければ」と義務に思うと続かないので、「心と体をリフレッシュするためのご褒美の時間」と捉えるようにしています。
※参考:がんに良い運動・寛解した人たちが取り入れている生活習慣
食事・運動以外で実践していること
30歳という若さでがんを経験し、何よりも「心の平穏」を保つことの重要性を痛感しました。再発への恐怖は、治療が終わって何年経っても完全には消えません。特に定期検診の前は、不安で眠れなくなることもあります。
その恐怖と付き合っていくために、マインドフルネス瞑想を毎晩寝る前に5分だけ実践しています。自分の呼吸に意識を集中することで、頭の中を駆け巡る不安を少しだけ鎮められます。
また、仕事のやり方や人付き合いも大きく変わりました。以前はNOと言えず、何でも抱え込んでしまう性格でしたが、自分のキャパシティを考えて、無理な仕事は断る勇気を持ちました。
人間関係も、一緒にいて心地よいと感じる人との時間を大切にし、ストレスを感じる付き合いはやめました。
自分の心と体の声を一番に聞き、自分を大切にすること。病気が教えてくれた、人生で最も大きな学びです。
※参考:がんに良い考え方・寛解した人たちが取り組んでいるメンタルケア
同じ乳がん経験者として伝えたいこと
30歳の誕生日を迎えた直後、人生で一番幸せであるはずの時期に、私はステージⅢの乳がんだと告知されました。
周りの友達は結婚や出産、キャリアアップと、キラキラした未来の話で溢れているのに、私だけが突然、死と隣り合わせの場所に突き落とされた。その絶望感と孤独感は、今でも忘れられません。
「どうして私が」と何度も自分を責め、治療方針を決めるための説明を聞いても、涙で前が見えませんでした。
抗がん剤治療は本当に過酷でした。髪がごっそり抜け落ち、鏡を見るたびに涙がこぼれました。吐き気で何も食べられず、体が鉛のように重い日が続きました。
周りから「頑張って」と励まされるたびに、「これ以上どう頑張ればいいの」と心を閉ざしたこともあります。
今、あなたは、まさにそんな暗闇のなかにいるのかもしれません。先の見えない不安と、治療の辛さで、心が張り裂けそうになっているかもしれません。
でも、どうか顔を上げてください。そんなボロボロだった私でも、告知から13年経った今、こうして元気に生きています。失った髪もちゃんと生えてきましたし、仕事にも復帰し、友人たちと旅行に行けるようにもなりました。
伝えたいのはあなたは一人ではないということです。ご家族や友人、医療従事者の方々、そして私のように、同じ痛みを経験した仲間がたくさんいます。
辛い時はどうか一人で耐えないでください。弱音を吐いてもいいんです。泣きたいだけ泣いていいんです。今は治療のことだけを考え、周りの優しさに思いっきり甘えてください。
そして、がんはあなたの人生のすべてではありません。確かに、人生を大きく揺るがす出来事です。でも、それはあなたの長い人生のほんの一部分です。
治療という嵐が過ぎ去った後には、必ず穏やかな日々が戻ってきます。そして、病気を乗り越えたあなたは、以前よりもずっと強く、そして人の痛みがわかる優しい人になっているはずです。
雨上がりの空が美しいように、苦しみを乗り越えた先に見える日常は、何倍も輝いて見えるようになります。
今は信じられないかもしれませんが、必ずまた心から笑える日が来ます。その日を信じて、どうか今日一日を、そして次の一歩を、大切に踏み出してください。遠い場所から、あなたのことを心から応援しています。
