がん再発予防のために、考え方やメンタルケアを見直すことはとても大事です。告知前とまったく同じ考え方や思考習慣を持っていると、がんの再発リスクは上がるとも言われています。
そこで、がん予防のために良いとされている考え方や、完治・根治・寛解した人たちが取り組んでいるメンタルケアなどをまとめてみました。
登場する項目の数は多いですが、必ずすべてに取り組まなければいけないという訳ではありません。「これなら取り入れられそう」と思える項目を見つけて、長い時間をかけて少しずつ取り組んでみてください。
このページを読む前に
当ページでは「がん予防に良いとされている考え方」や「がんを完治・根治・寛解させた人たちが取り入れているメンタルケア」などをご紹介していますが、こちらは当ページの内容の出典や取り組むにあたっての注意点となります。これらを確認してから、先を読み進めてください。
出典
母と妻が乳がんになってから、がんに関する様々な本を読みました。その中でも特に役に立つと実感したのがこちらの6冊です。いずれも過去にベストセラーとなっていて、高評価レビューも数多くついています。
これら6冊を情報源として、当ページを作成しました。前向きになれる内容のものばかりですので、気になったタイトルがあったらぜひ読んでみてください。
- がんが自然に治る10の習慣 - 余命宣告から奇跡的な回復を果たした劇的寛解者たちの希望
- がんが自然に治る生き方 - 余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと
- がんが消えていく生き方 - 外科医ががん発症から13年たって初めて書ける克服法
- がんステージⅣ克服 - 「転移」「再発」「余命告知」からの回復記録
- ステージ4をぶっ飛ばせ!がんに負けない生き方
- がんとの共存を可能にする3つの治癒力強化法
標準治療をしたうえで取り組む
乳がんに限らず、どのようながんであっても、まずは標準治療を始めましょう。科学的根拠に基づいた最良の治療法が標準治療です。標準治療を行ったうえで、当ページの内容を実践するようにしてください。
そして、「思考は現実化する」という有名な言葉の通り、治療中も治療後もできるだけ前向きでいられるように意識してみてください。かんたんなことではないかもしれませんが、そのためのヒントがこのページにまとめられています。
自分に厳しく当たらない
がんになると「自分が悪かったからがんになってしまったんだ」と、自分を責めてしまう人も少なくありません。
同様に、治療中や治療後も「なんでこんなかんたんなこともできないんだ」と、自分に厳しく当たってしまいがちです。
しかしながら、がんになった原因は誰にもわかりませんし、遺伝的な要素の可能性もあります。人より健康に気をつけている人でもがんになることもあります。
治療中や治療後も、日によって体調は変わってきますので、かんたんなことでも「今日はちょっとできないかも」ということは珍しくありません。
ですから、自分を責めたり、自分に厳しく当たったりしないでください。無理して我慢したり、頑張ったりする必要もありません。
これらはストレスの原因にもなってしまいますので、できるだけ自分に優しく接してあげましょう。この後の項目にも出てきますが、自分を好きになったり、自分を愛してあげることはとても大切なことです。
ストレスは、がんのリスクを上げる可能性があるほか、がん以外の様々な病気の原因にもなるとされているため、がんになった後は特にストレスの少ない生活を心がけることが大切です。
※参考:ストレスはがん罹患のリスクが上昇(国立がん研究センター)
おだやかに過ごす
おだやかに過ごすことには免疫力向上・自律神経の安定・睡眠の質の向上などのメリットがあります。できるだけストレスを遠ざけて、心穏やかに、安らかに過ごすことで、周りの人間関係も良好になります。
もちろん、ストレスのたまることや不快なことにまったく出くわさないというのは難しいですが、そのような出来事があっても、意識的に忘れようとしたり許したりして、できるだけ心に波風を立てないようにしてみましょう。
感謝する
感謝することには免疫力向上・ストレス軽減・モチベーションの向上などのメリットがあります。感謝することで、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンやオキシトシンなどが分泌されます。
- 人に感謝:助けてくれた人・優しくしてくれた人・お世話になった人など
- 周りに感謝:元気でいられること・便利な社会・心地よい風・おいしい食事など
- 自分に感謝:自分の身体・すべての細胞・自分がしたことなど
このように、感謝の対象は無数にあります。人や社会、形のあるものないもの、そして自分自身と、いつでも感謝の気持ちを持つように意識してみてください。
また、「すみません」を「ありがとう」に置き換えるのもおすすめです。自分の周りにいる人たちに「ありがとう」をたくさん伝えましょう。
自分の身体への感謝もお忘れなく。お風呂などで「今日もありがとう。おかげで今日も素晴らしい日になった。ごくろうさま」と、身体の部位に声をかけてあげてください。
幸せを感じる
幸せを感じることには免疫力向上・病気のリスク軽減・生活の質の向上などのメリットがあります。「毎日幸せを感じることが最高の薬である」と言われることもあるほど、人間にとって大事なことです。
どんな些細なことでもいいので、幸せな瞬間を探してみてください。そして、寝る前に「今日5分だけでも幸せな時間を過ごせたか」を確認しましょう。
もし幸せを感じることができていたら、そのことを思い出して、関わった人やものに感謝してから眠りにつくようにしましょう。
愛し、愛される
愛し、愛されることには免疫力向上・ストレスの軽減・自己肯定感の向上などのメリットがあります。愛情を与えることも、愛情を受け取ることも、幸せホルモン(セロトニン・オキシトシンなど)の分泌を促します。
人や動物(ペット)に愛情を与えること、人や動物から愛情を受け取ることを意識してみてください。愛されていると実感できると最高です。
そのためにも、他者とのつながりを大切にしましょう。孤独は健康に悪影響を及ぼします。愛を実感することで孤独を回避できますし、1人でいるときでも瞑想や祈りをささげることで孤独感を打ち消すことができます。
また、自分自身を愛することも大切です。これまでの人生で「自分のことが好きではない」と思ったこともあるかもしれませんが、自分の存在価値を認めてあげて、自分を愛し、好きになるようにしましょう。
許す
許すことにはストレス軽減やメンタルヘルスの改善などといったメリットがあります。許すことは必ずしも簡単なことではありませんが、過去に執着しないことでより人生が豊かになります。
昔のことでもつい最近のことでも、他人でも自分自身でも、毎日許すことを意識してみてください。
怒りや恨みといった感情は健康に対してマイナスに作用します。ストレスを減らして前向きに生きるためにも、許すことは欠かせません。もちろん、自分を責めずに、自分自身を許すこともお忘れなく。
感情を出す
感情を出すことには免疫力向上・ストレス軽減・メンタルヘルスの改善などといったメリットがあります。感情を抑え込んだり、ため込んだりすることはストレスとなり、体の不調に繋がってしまうこともあるので注意が必要です。
- 泣く
- 感動する
- 日記を書く
- 誰かに話す
- 大声で叫ぶ
- 運動をする
など、自分なりの感情を出す方法を探してみてください。抑圧された感情を解き放つ場をつくっておけば、不意に感情を揺さぶられてストレスを受けてしまったときでも、スムーズに対処できるようになります。
また、悪い感情はもちろんのこと、良い感情でも長く執着しすぎないことが大事です。感情をため込まずに、いつでも心の器に余裕がある状態にしておけると理想的です。
マインドフルネス
マインドフルネスにはストレス軽減・睡眠の質向上・メンタルヘルスの改善などといったメリットがあります。過去や未来ではなく、今この瞬間だけに意識を向けている心の状態のことをマインドフルネスと言います。
- 静かな場所で座る(椅子でも床でも可)
- 背筋を軽く伸ばす
- 目を閉じるか半目にする
- 浅すぎず深すぎず自然体の呼吸に意識を向ける
これがマインドフルネスのやり方です。1日1回10分~20分が目安になります。マインドフルネス瞑想とも呼ばれていて、いわゆる心のストレッチやストレスマネジメントにも効果的です。
がんになると、術後や標準治療がすべて終わった後でも、どうしてもがんのことが頭から離れなくなりがちですが、マインドフルネスに取り組んでいる間はがんのことも一切忘れられます。
マインドフルネスを習慣化して、長期間に渡って継続することで、がんのことを忘れる時間も増やせますし、意識的に不安な気持ちを取り除くこともできるようになりますので、ぜひ始めてみてください。
生きがいを持つ
生きがいを持つことにはストレス軽減やメンタルヘルスの改善などといったメリットがあります。生きがいを持っている人は持っていない人に比べて、長寿で病気のリスクが低いという研究も出ているほどです。
「生きがい」という言葉は漠然としていてわかりにくいですが、具体的な言葉に言い換えると次の通りです。
- 夢や希望を持つ
- 人生の目的意識を持つ
- どうしても生きたい理由を持つ
手術や標準治療を乗り越えて、これからの人生で何をしたいのか、一度考えてみてください。
すぐには思い浮かばないかもしれませんが、自分の好きなもの、幸せに感じること、やってみたいことなどを具体的に考えてみると、きっと何か見つかるはずです。長い日時がかかってもいいので、探してみてください。
そして、自分の生きがいが見つかったら、それを自分のうちに秘めておくのではなく、家族や親しい友人などの大切な人たちにも語るようにしましょう。
夢を語っている姿は魅力的ですし、生き生きして見えます。そのような姿を見せることで大切な人たちを安心させられますし、もしかしたら意外なところから良いアイデアが出てくるかもしれません。
これからまだまだ長く続く人生です。前向きに思う存分に楽しむためにも、生きがいを持つことはとても大事です。
人を応援する
人を応援したり、人の幸せを祈ることには、免疫力向上・ストレス軽減・自己肯定感の向上などといったメリットがあります。人を応援したり、人の幸せを願ったりすることが、自分自身の健康や幸せへとつながっていきます。
応援の対象は、人でも動物でも物でもキャラクターでも、損得勘定抜きで自分が心から応援したいと思えるのであれば、なんでもOKです。
この数年で「推し活」という言葉もよく耳にするようになりましたが、応援する(=推す)ことで前向きな気持ちにもなれますので、自分なりの推しを探してみましょう。
また、次の4つのフレーズを寝る前に唱えるのもおすすめです。
- 「私が幸せになりますように」
- 「私が健康になりますように」
- 「○○さんが幸せになりますように」
- 「○○さんが健康になりますように」
- 「すべてのがん患者さんが幸せになりますように」
- 「すべてのがん患者さんが健康になりますように」
- 「すべての生き物が幸せになりますように」
- 「すべての生き物が健康になりますように」
先述の出典のところに掲載したステージ4をぶっ飛ばせ!がんに負けない生き方では、それぞれ3回ずつ寝る前に唱えることを推奨しています。
言霊(ことだま)という言葉もあります。自分と自分以外の幸せと健康を願うことによって、これからの自分の人生が幸せで健康なものになると信じてみてください。
喜びと楽しみの中に生きる
喜ぶことや楽しむことには免疫力向上・ストレス軽減・メンタルヘルスの改善などといったメリットがあります。喜んだり楽しんだりすることによって、幸せホルモンが分泌され、健康や人生そのものに良い影響を与えます。
普段から、自分を喜ばせる生き方を意識してみましょう。自分が好きなことをしたり、好きな人と一緒に過ごしたりするのはもちろんのこと、楽しいことを考えたり、何かを選ぶシーンではわくわくする方を選んだりしてみてください。
人によって喜べることや楽しいことは違いますが、がんに良い運動・寛解した人たちが取り入れている生活習慣のページの「⑤楽しいことをする」の項目に具体例をまとめました。
喜ぶことをたくさんして、楽しいこともたくさんして、長く元気で健康に過ごしましょう!
前向きに考える
前向きに考えることには免疫力向上・ストレス軽減・自己肯定感の向上などといったメリットがあります。ポジティブ思考とも言われますが、物事を常に前向きにポジティブに考えることはとても大事です。
がんを告知されると、以前よりもふとした時に不安になることはよくあります。手術や標準治療が終わった後でも、再発や転移の心配をしてしまいがちです。
それでも、前向きに考えることを意識しましょう。自分の持っている無限の可能性を認めて、「がんは治る」「がんは治った」と信じてください。
また、がんになったことにポジティブな意味づけをするのもおすすめです。
- 家族の絆が深まった
- 人生観・価値観が変わった
- 本当に大切なものがわかった
- 自分を大切にするようになった
- 健康を見つめ直す機会になった
- 新たな目標や生きがいが見つかった
- 当たり前なことにも感謝の気持ちを持つようになった
これらはキャンサーギフト(がんからの贈り物)とも呼ばれ、完治・根治・寛解した人たちの多くが実際に感じていることです。
「がんにならない方が良いに決まってる」「キャンサーギフトという言葉が嫌い」という人もいますが、がんになったことで「人生が良い方向に変わった」「以前よりも幸福度が上がった」という人は驚くほどたくさんいます。
がんを告知されると、手術や標準治療が終わっても、がん患者である(がん患者であった)という事実は覆せません。それなら、がんになったことさえもポジティブに捉えて、前向きに生きる方が人生を楽しめると思いませんか?
我慢しない
我慢しないことにはストレス軽減・メンタルヘルスの改善・自己肯定感の向上などといったメリットがあります。日本では「我慢は美徳」とされている部分もありますが、我慢するとストレスもたまるので注意が必要です。
先述の出典のところに掲載したがんが消えていく生き方 - 外科医ががん発症から13年たって初めて書ける克服法では、がんになりやすい人の特徴を3G(我慢して、頑張る、頑固者)と表現しています。
まじめで良い人ほど「もっと我慢しなくちゃ」「もっと頑張らなきゃ」という考え方をしていて、我慢と頑張りと頑なに続けようとしがちです。
しかし、我慢することも、無理して頑張ることも、大きなストレスとなります。そして、過度なストレスが心身に様々な悪影響を与えることは、様々な研究で証明されています。
ストレスはがんを助長するエネルギーになり得る訳ですから、当然ない方が良いに決まっています。ストレスをできるだけ遠ざけるためにも「我慢しないこと」と「頑張りすぎないこと」を日常生活から意識してみてください。
スピリチュアルなものを大切にする
スピリチュアルなものを大切にすることにはストレス軽減・リラックス効果・メンタルヘルスの改善などといったメリットがあります。スピリチュアルとは「精神的・霊的・宗教的」といった意味です。
- 自分の直感を信じる
- 瞑想やヨガを通じて心の内面と向き合う
- お墓参りする
- 神社やお寺に参拝する
- 教会で礼拝する
これらが具体例です。お墓で親族やご先祖様に感謝をしたり、癌封じで有名な神社に行ったり、教会でお祈りを捧げたりなど、完治・根治・寛解した人たちの多くがスピリチュアルなものを大切にしています。
ただし、一点だけ注意が必要です。それはいわゆる霊感商法です。がん患者の不安につけ込んで、高額なものやサービスを売りつけるという悪徳商法は古くから存在していて、被害が絶えません。
「買うだけでがんが治るもの」や「飲むだけでがんが治るサプリ」などはありません。スピリチュアルなものを大切にしながらも、スピリチュアルを売りにした悪徳商法には気を付けてください。
積極的にサポートを求める
サポートを求めることにはストレス軽減・自己成長の促進・メンタルヘルスの改善などといったメリットがあります。難しいことは1人で悩まずに、心を開いて積極的に周りのサポートを求めるようにしましょう。
サポートを求める対象は家族や親族だけではありません。がんや病気についての部分は専門的な知識が必要となりますので、主治医・看護師さん・薬剤師さんに積極的に相談しましょう。
特に治療中は薬などの影響で、どうしても1人では解決できないことも増えてきます。そんな時になんとか無理をして1人でやろうとするのではなく、周りにサポートを求めることで身体的にも精神的にも楽になります。
「迷惑をかけてしまうかも…」なんて心配はいりません。あなたの周りの親しい人たちはあなたをサポートしてあげたいと思っています。
助けを求めることは恥ずかしいことではありません。「なんでも1人でできるようにならないといけない」と頑固に考えるのではなく、「手助けしてくれる優しい人が周りにいるから私は幸せ」と前向きに考えてみてください。
がんを恐れない
がんを恐れないことには免疫力向上・ストレス軽減・リラックス効果などといったメリットがあります。完治・根治・寛解した人たちの多くが、がんを恐れるのではなく、受け入れてあげることの大切さを語っています。
- がんは敵ではない
- がん細胞を含む、すべての細胞に感謝
- 正常な細胞だったのに損傷を受けて発生してしまったがん細胞を愛してあげる
がんを恐れて敵とみなすと、人間の身体は戦闘モードや逃走モードに入り、ストレスを受けてしまいます。
一方で「受け入れて愛してあげることで、がん細胞が修復されて正常な状態に戻る」とイメージすると、ストレスが消えて身体が治癒モードに入ります。
標準治療中や治療が終わったばかりの頃は、どうしても再発や転移に対して恐れを抱いてしまいますが、その感情を長く持ちすぎないように意識してみてください。
そして、少しずつでもいいので、がん細胞を認めて受け入れてあげましょう。そこからさらに感謝の気持ちや愛する気持ちを持ってあげることが、長く元気に健康に過ごすための重要なポイントになります。
治療効果が高まるイメージをする
治療効果が高まるイメージをすることにはプラセボ効果の増幅・自己治癒力の向上・心理的な安定などといったメリットがあります。薬や抗がん剤がよく効いているとイメージすることで、健康にいい影響を与えられると考えられています。
- がんは消えるものだと思う
- 治療後の元気な自分の姿をイメージする
- がん抑制遺伝子が働いているとイメージする
- 今やっていることが自分を健康にしていると考える
薬としての効果がない偽薬(プラセボ)でも、「薬が効く」とイメージすることで実際に症状が改善する現象のことをプラセボ効果と言います。
もちろん標準治療で用いられている薬や抗がん剤は、がんに効果があると実証されているものになります。そこに治療効果が高まるイメージを加えることで、さらに効果を高められることを期待できます。
また、標準治療が終わった後もこの考え方は大事です。「今取り組んでいること(食や運動など)が自分を健康にしている」とイメージすることによって、再発リスクを下げられる可能性もあります。
ちなみに、食事についてはがんに良い食べ物・寛解した人たちが取り組んでいる食事法のページを、運動についてはがんに良い運動・寛解した人たちが取り入れている生活習慣のページも参考にしてみてください。