メリット | デメリット |
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スペース効率が高い | 初期コストが高い |
電力効率が高い | 発熱量が大きい |
管理が簡単 | 特定ベンダーへの依存 |
スケーラビリティ | 物理的な制約 |
配線の簡素化 | 可搬性が低い |
高速なデプロイ | 障害時の影響範囲が広い |
高密度設計 | 電源依存度が高い |
エネルギー効率改善 | 冷却システムの要件が高い |
信頼性の向上 | 修理・交換コストが高い |
コスト削減(長期的) | 全体のシステム設計が複雑化 |
ブレードサーバーのメリット
上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。
スペース効率が高い
ブレードサーバーの大きな特徴の一つは、複数のブレードを一つのシャーシに収められる高密度設計です。従来のラックマウントサーバーでは、1台ごとに独立した筐体が必要であるため、多数のサーバーを設置するとデータセンターの物理的スペースを多く占有します。一方、ブレードサーバーは共通のシャーシに複数のブレードを収納することで、1ラックあたりのサーバー台数を大幅に増やすことができます。その結果、設置面積を削減し、限られたスペースを有効活用できます。この特徴は特に都市部のデータセンターや物理的なスペースが制約となる場合に非常に有用です。
電力効率が高い
ブレードサーバーでは、シャーシ内で電源ユニットや冷却システムを共有するため、各サーバーが個別に電力を供給する場合に比べて電力使用効率が向上します。従来型のサーバーでは、電源ユニットや冷却ファンが各サーバーに搭載されており、非効率的なエネルギー消費が発生しやすいですが、ブレードサーバーはこれを集約することで、電力の重複消費を最小限に抑えます。また、高性能な電源装置を採用することで、効率がさらに改善されます。このため、運用コスト削減や環境負荷の軽減にも寄与します。
管理が簡単
ブレードサーバーは、専用の管理ツールを使用して、複数のブレードを一元的に管理できます。この管理ツールにより、電源の制御、ネットワークの設定、ファームウェアのアップデート、リモート監視などが容易になります。また、シャーシ内でネットワークスイッチや電源供給を統合管理できるため、サーバーの増設や変更時の管理負担が大幅に軽減されます。この特長は、ITスタッフの作業効率を高めるとともに、運用中のミスや障害対応の迅速化にもつながります。
スケーラビリティ
ブレードサーバーは、必要に応じて新しいブレードを追加することで簡単にシステムを拡張できます。これにより、初期投資を最小限に抑えつつ、将来的な需要増加に対応できる柔軟な設計が可能です。例えば、業務の成長に伴って計算能力を増強したい場合、空きスロットに新しいブレードを差し込むだけで簡単にリソースを追加できます。このような拡張性は、企業のIT戦略を効率的かつ経済的にサポートします。
配線の簡素化
ブレードサーバーでは、ネットワークや電源ケーブルがシャーシ内で統合されています。従来のサーバーでは、各サーバーごとに配線が必要で、数が増えるにつれてケーブル管理が複雑になります。一方で、ブレードサーバーでは、シャーシ内のバックプレーンを通じて通信や電力供給を行うため、外部ケーブルの本数が大幅に削減されます。この特徴により、設置時の作業が簡単になり、トラブルシューティングやメンテナンスも効率化されます。
高速なデプロイ
ブレードサーバーは、シャーシ内に新しいブレードを追加するだけで導入が完了するため、デプロイが迅速です。従来のサーバーでは、ラックへの設置、配線、電源供給など多くの作業が必要ですが、ブレードサーバーではこれらの作業が最小限に抑えられます。また、事前に構成を設定しておくことで、設置後すぐに運用を開始することも可能です。この高速デプロイ能力は、新しいプロジェクトの立ち上げや緊急のリソース増強時に特に役立ちます。
高密度設計
ブレードサーバーは、限られた物理スペースで最大限の計算能力を提供する高密度設計が特徴です。例えば、1つのシャーシに数十台のブレードを収納できるため、1ラックあたりのパフォーマンスが大幅に向上します。このような高密度設計は、大規模なデータセンターやクラウドサービスプロバイダーにとって特に有用です。また、スペースの節約により、データセンター全体の運用効率も向上します。
エネルギー効率改善
ブレードサーバーは、冷却効率が高く、データセンター全体のエネルギー消費を削減します。シャーシ内の冷却システムは、複数のブレードを効率的に冷却できるように設計されており、従来型サーバーに比べて冷却コストを大幅に抑えます。さらに、最新技術を採用した冷却装置を使用することで、サーバー運用に伴う環境負荷も低減できます。このため、エネルギー効率が重要視される現代のIT環境において、ブレードサーバーは優れた選択肢となります。
信頼性の向上
ブレードサーバーのシャーシには、冗長化された電源ユニットや冷却システムが組み込まれており、信頼性が向上しています。例えば、一つの電源ユニットが故障しても、別の電源ユニットが動作を継続するため、システム全体のダウンタイムを最小限に抑えることができます。また、ブレード自体もホットスワップ対応である場合が多く、稼働中の交換が可能です。これにより、業務継続性が向上し、ビジネスへの影響を軽減します。
コスト削減(長期的)
初期投資こそ高額になるものの、長期的には運用コストを削減できます。電源や冷却システムを共有することで、エネルギーコストが削減され、配線や管理の効率化により運用負担が軽減されます。また、スケーラブルな設計により、需要に応じた柔軟な拡張が可能であり、過剰投資を避けられます。これにより、総合的な所有コスト(TCO)の削減が期待できます。
ブレードサーバーのデメリット
上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。
初期コストが高い
ブレードサーバーの導入には、シャーシやブレードそのものの高額な初期投資が必要です。特に、複数のブレードを収容するためのシャーシは高度な技術を要し、これにより単一のラックマウントサーバーと比較すると、初期費用が大幅に増加します。また、専用の管理ツールや冷却設備が必要になる場合もあり、追加コストが発生します。このため、小規模な企業や予算に制約がある場合には、導入が難しいと感じることがあるかもしれません。しかし、長期的な運用コスト削減効果を考慮すれば、この初期コストは回収可能な場合も多いです。
発熱量が大きい
ブレードサーバーは高密度で設計されているため、ラック単位で見ると従来のサーバーに比べて発熱量が大きくなります。このため、効率的な冷却システムが不可欠となります。冷却が不十分だと、ブレード全体が高温状態に陥り、システム障害やパフォーマンス低下の原因となります。データセンターには、専用の空調システムや水冷技術などの高度な冷却設備が必要になる場合も多く、これが導入コストや運用コストを押し上げる要因となります。
特定ベンダーへの依存
ブレードサーバーは、多くの場合、特定のベンダーのハードウェアや管理ツールに依存します。異なるメーカー間での互換性が低いため、導入後に異なるベンダーの製品を混在させることが難しくなります。これにより、将来的な拡張や変更の際に柔軟性を欠くことがあります。また、特定のベンダー製品を使用し続けることで、サポート契約やアップグレードにかかるコストが増加する可能性があります。この「ロックイン」状況は、企業の自由な選択を制限する一因となります。
物理的な制約
ブレードサーバーは、1つのシャーシ内での収容数に限りがあります。すべてのスロットが埋まった場合、新たにブレードを追加するには別のシャーシが必要です。これにより、設置スペースや電力、冷却リソースの計画が複雑化することがあります。また、シャーシ自体がかなり大きいため、ラックの物理的な制約やデータセンター全体の設計に影響を及ぼす可能性があります。このように、スケールアップの柔軟性には限界がある点に注意が必要です。
可搬性が低い
ブレードサーバーは、シャーシ全体で動作する設計となっているため、個々のブレードを単独で他の場所へ移動するのは困難です。シャーシごと移設する必要があり、大規模なシステム変更やデータセンター間の移動には手間とコストがかかります。このため、柔軟な運用が求められる環境では、物理的な移動に関する制約が課題となることがあります。この可搬性の低さは、クラウドサーバーや仮想化技術の普及に伴い、特に顕著な欠点として認識されることがあります。
障害時の影響範囲が広い
シャーシは複数のブレードを収容するため、シャーシ自体が故障すると、すべての収容ブレードが影響を受けます。たとえば、シャーシ内の電源装置や冷却ファンに障害が発生した場合、複数のサーバーが同時に停止する可能性があります。これにより、障害対応の難易度が上がり、ダウンタイムが長引くリスクが生じます。このため、重要なシステムにブレードサーバーを使用する際には、シャーシの冗長化や予備設備の準備が欠かせません。
電源依存度が高い
ブレードサーバーはシャーシ全体で電源を共有する設計となっており、シャーシの電源ユニットが故障した場合には、全ブレードが影響を受けます。この電源への集中依存は、サーバー運用におけるリスク要因の一つとなります。電源ユニットの冗長化やUPS(無停電電源装置)の導入が推奨されますが、それでも一部の環境ではリスクを完全に排除できない場合があります。これにより、電力供給の安定性がサーバー全体の稼働率に直結します。
冷却システムの要件が高い
ブレードサーバーは高密度設計のため、冷却効率を維持することが重要です。特に、密集したブレードが大量の熱を発生させるため、冷却システムが不十分だと過熱によるパフォーマンス低下や障害のリスクが増加します。このため、専用の空調システムや冷却技術が必要になる場合が多く、それに伴う運用コストも高くなります。適切な冷却ソリューションがない場合、ブレードサーバーの利点が制限される可能性があります。
修理・交換コストが高い
ブレードサーバーの修理や交換には専門的な知識や専用部品が必要です。特に、シャーシやブレードが故障した場合、その交換費用は通常のサーバーに比べて高額になることがあります。また、部品が特定のベンダー専用であることが多いため、サードパーティ製品を利用してコストを抑える選択肢が制限されます。このような要因により、障害対応にかかるコストが運用予算に大きな影響を与える可能性があります。
全体のシステム設計が複雑化
ブレードサーバーの導入には、シャーシとブレードの適切な組み合わせを考慮した詳細な設計が必要です。たとえば、電源容量や冷却能力、ネットワーク帯域などを事前に計画しないと、システム全体のパフォーマンスが制限される可能性があります。また、将来的な拡張や運用を見越した設計を行う必要があり、このプロセスには高度な知識と計画力が求められます。このため、導入に際しては専門家のサポートが不可欠となる場合があります。
みんなの意見
賛成意見 | 反対意見 |
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ブレードサーバーはラックマウント型サーバーと違い、省スペースでの設置が可能であることが大きな魅力の一つだと思います。
省スペースに大量のCPUを集積できますから、電力効率も優れています。
また複数のブレードサーバーで電源や放熱ファンを共有することから、もし故障が発生した場合に交換する部品が少なくて済みます。 更に取り付け部をレバー化すればドライバーなどを使用せずに内部を点検・サーバーの交換をすることが可能になるなど、保守の観点から見ても優れていると思います。 |
ラックマウント型サーバーと違って統一された規格が存在せず、ブレードサーバーを収めるエンクロージャの設計が各社で異なるため、一度運用を始めてしまったらメーカーを変更することが容易でないのはデメリットだと思います。 また、今の段階では電源容量が足りていても、将来CPUが進化してより大きな電力を必要とするようになった時、エンクロージャ側の制限で新しいブレードサーバーの搭載が不可能になるといった事が想定されます。 そのため、導入の際には将来を見据えて十分な検討をすることが必須だと思います。 |
ブレードサーバーの良い点というと、なんといってもメンテナンスのしやすさがあると思います。 サーバーにはハードディスクやSSDなど物理的に壊れるものがありますので、故障に際して急な部品交換にもスムーズに対応でるのが良い点だと思います。 また故障だけではなく、何十台と運用している中で一気にメモリーやハードディスクの拡張などを行う際にもブレードサーバーの利点が大きく出てくると思います。 他にも省スペース性が挙げられます。サーバールームを作り多数のサーバーを運用していくと、どうしても問題になるのがスペースです。ブレードサーバーであれば単位面積当たりで高い運用が可能になるのが良い点といえます。 |
ブレードサーバーの良くない点というと、よく騒音の問題が挙げられます。 あまり人のすぐ近くで運用することを考えずに、冷却性能の方に注視している製品が多いので、中にはファンの音がうるさい製品もあります。合わせて排熱の問題もあります。 これらを考えるとオフィスの一角でブレードサーバーを運用するのではなくて、別途サーバールームなどのスペースを確保してある程度隔離しての運用を考えたほうがいいかもしれません。 そういったことを考えていくと、条件によってはブレードサーバーの導入は費用的に高額になることがあり、その点がマイナスです。 |
ブレードサーバーのメリットは、筐体の企画が全て共通化できている点です。 設置には専用のラックが必要で導入のハードルは高くなりますが、ハードメーカーが異なったとしてもきちんとラックに収容できます。取り付けに必要なねじも共通です。 一方、タワー型のパソコンではメーカーごとに筐体の大きさが異なり、I/O系の差し込み口もそれぞれ異なるため、台数が増えた場合にかなり見苦しくなります。 また、内部の部品も異なるのでメンテナンスが一苦労となります。ブレードサーバーは保守性という点で優れています。 |
ブレードサーバーのデメリットは、サーバー設置に必要なラックが置き場所を選ぶことにあります。 タワー型のPCならば、最悪は事務机の横やキャビネットなどにも1台毎に収容できますが、ラックを設置するとなると電源の管理や天井までの高さまで考慮する必要があります。 また、空調管理を行ったり、あるいは入退室にも気を配る必要も出てきますので、初期投資としてはかなりの金額になります。 サーバーの運用経験があれば問題ありませんが、初めてであればそのハードルは高く、設置だけでも専門性を要求されるものになります。 |