メリット デメリット
信頼性の向上 コストの発生
スケーラビリティ 物理的制約
セキュリティ強化 通信遅延
専門知識の活用 カスタマイズ性の制限
コスト削減 データの所有権問題
高可用性 セキュリティリスク
エネルギー効率の向上 依存度の増加
多地点での冗長性 環境への影響
サービスの柔軟性 技術的制限
事業継続性の確保 データ移行の難しさ

データセンターのメリット

上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。

信頼性の向上

データセンターは、複数の電力供給ラインやバックアップ電源を備え、停電などの障害時にもサービスを継続できます。また、高度な冷却システムや冗長化されたネットワークインフラにより、サーバーの故障リスクを最小限に抑えています。これらの信頼性向上の仕組みによって、ビジネスの重要なアプリケーションやデータが常時利用可能な状態を維持できます。特に、金融や医療、Eコマースなどの分野ではダウンタイムが大きな損失につながるため、信頼性の高さは非常に重要な要素です。

スケーラビリティ

データセンターでは、企業の成長に合わせてサーバーやストレージ容量を柔軟に増減できます。これにより、初期投資を抑えながら、需要の変化に迅速に対応することが可能です。たとえば、ECサイトがセール期間中にアクセス増加に対応するため、一時的にリソースを増強することができます。また、縮小時には余剰資源の維持コストを削減できるため、経済的にも効率的です。この柔軟性は、企業のビジネス成長や市場変化への適応を支えます。

セキュリティ強化

データセンターでは、侵入検知システムや24時間監視カメラ、指紋認証などの物理的セキュリティが徹底されています。さらに、ファイアウォールや暗号化技術、脅威検知システムなど、サイバーセキュリティ対策も万全です。これにより、ハッキングやデータ漏洩のリスクが大幅に軽減されます。特に機密性の高い情報を取り扱う業種にとって、これらのセキュリティ対策は不可欠です。

専門知識の活用

データセンターは、経験豊富な技術者が24時間体制で運用を管理しています。これにより、ハードウェア障害やソフトウェアのトラブルにも迅速に対応できます。自社で専門家を雇うよりも、コスト効率よく高度な知識とスキルを活用できるため、中小企業にとって特に有利です。また、新しい技術の導入やトレンドへの対応も容易になります。

コスト削減

データセンターを利用することで、自社でインフラを構築・運用するコストを削減できます。たとえば、電力供給設備や冷却システム、物理的な建物などを整備する必要がなくなります。また、運用コストもサービスプロバイダーと共有するため、規模の経済が働きます。これにより、中小企業でも大企業並みのインフラを利用できるという利点があります。

高可用性

データセンターは、災害対策やバックアップシステムが充実しており、停電や地震、洪水などの非常時でも稼働を継続します。さらに、データの冗長性を確保するため、複数のサーバーやストレージを使用しています。このような対策により、業務の中断を最小限に抑えられるため、重要なサービスを提供する企業にとって大きなメリットとなります。

エネルギー効率の向上

最新のデータセンターでは、効率的な冷却技術や再生可能エネルギーの利用が進んでおり、エネルギー消費を抑えつつ運用が可能です。これにより、運用コストを削減するだけでなく、環境負荷も軽減されます。自社で同様の技術を導入するには多大なコストがかかるため、データセンターを利用することは環境にも優しい選択となります。

多地点での冗長性

大規模なデータセンターは、異なる地理的拠点に分散して配置されています。これにより、一箇所が災害に見舞われた場合でも、他の拠点で業務を継続することが可能です。この地理的冗長性により、データ損失のリスクが大幅に軽減され、事業の継続性が強化されます。

サービスの柔軟性

データセンターは、オンプレミス型、クラウド型、ハイブリッド型など多様なサービスモデルを提供しています。これにより、企業はニーズや予算に応じて最適なソリューションを選べます。また、新しいサービスや技術への対応が迅速で、変化の激しい市場環境にも適応しやすいという利点があります。

事業継続性の確保

データセンターは、バックアップ機能や災害復旧計画を備えており、ビジネスに不可欠なデータやアプリケーションを保護します。これにより、自然災害やサイバー攻撃などの緊急事態が発生しても、業務を迅速に再開することが可能です。特に、長期間のダウンタイムが許されない業種では、データセンターの事業継続性が重要な役割を果たします。

データセンターのデメリット

上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。

コストの発生

データセンターの利用には、初期導入費用や継続的な運用コストがかかります。これには、ラックスペースの賃料、帯域幅使用料、電力費用、サポート費用などが含まれます。特に、小規模な企業にとっては、月々のランニングコストが大きな負担になる場合があります。さらに、高度なサービスや追加機能を利用する場合、追加料金が発生することが多く、予算管理が複雑になります。

物理的制約

データセンターの地理的な位置が遠い場合、物理的にアクセスする必要が生じた際に移動時間やコストがかかります。特に、緊急メンテナンスや設備確認が必要な場合、迅速な対応が難しいことがあります。また、地域によっては信頼できるデータセンターの選択肢が限られているため、地理的制約がビジネスの運用効率に影響を与えることがあります。

通信遅延

データセンターが遠隔地にある場合、データのやり取りにおいてレイテンシ(遅延)が発生することがあります。これは、リアルタイム性が求められるアプリケーション(例えばビデオ会議や金融取引システムなど)において大きな問題となる可能性があります。特に、ネットワークトラフィックが多い場合や通信回線が混雑している場合には、遅延がさらに顕著になります。

カスタマイズ性の制限

データセンターサービスは多くの場合、標準化されたインフラやプラットフォーム上で提供されます。そのため、自社専用の特定のカスタマイズが必要な場合、技術的またはコスト的な制約が発生することがあります。特に、特殊な業務要件を持つ企業にとっては、プロバイダーのサービス内容が完全に一致しない場合があり、運用に支障が出る可能性があります。

データの所有権問題

データセンターにデータを預ける場合、所有権や責任の所在が曖昧になることがあります。特にクラウド型データセンターを利用する場合、データがどの国のサーバーに保存されているのか明確でないこともあります。これにより、法的規制やコンプライアンスの問題が発生するリスクがあります。また、契約条件によっては、データ引き渡しや削除がスムーズに行われない可能性もあります。

セキュリティリスク

データセンターは高度なセキュリティ対策を講じていますが、完全にリスクを排除することはできません。ハッカーや内部関係者による攻撃、自然災害などによるデータ漏洩やシステム障害が発生する可能性があります。さらに、セキュリティインシデントが発生した場合、その影響は広範囲に及び、復旧に時間とコストがかかることがあります。

依存度の増加

外部のデータセンターサービスを利用することで、そのプロバイダーに大きく依存する形になります。プロバイダー側で障害が発生した場合や、契約条件の変更が行われた場合、自社の業務に直接的な影響が及ぶ可能性があります。また、プロバイダーがサービスを停止したり倒産した場合には、データやシステムの移行が大きな課題となります。

環境への影響

データセンターは、大量の電力を消費する施設であり、特に古い設備ではエネルギー効率が低い場合があります。これにより、炭素排出量が増加し、環境への負荷が懸念されます。一部のデータセンターでは再生可能エネルギーの利用や効率的な冷却システムを導入していますが、すべての施設が環境に配慮しているわけではありません。

技術的制限

データセンターのサービスは、プロバイダーが提供する特定のプラットフォームや技術に基づいています。そのため、新しい技術や独自の要件に対応できない場合があります。また、特定のソフトウェアやハードウェアとの互換性の問題が発生する可能性もあります。これにより、企業の柔軟性が制限されることがあります。

データ移行の難しさ

データセンター間でデータを移行する際、大量のデータを転送するための時間やコストが発生します。また、プロバイダーごとの仕様や契約条件の違いによって、移行プロセスが複雑化する場合があります。さらに、データ移行中にサービスの中断が発生するリスクがあり、業務運営に影響を与えることがあります。

みんなの意見

賛成意見 反対意見
通常の運用時には、サーバ管理の手間が軽減できるという点がよいと思います。社内にサーバ管理者不在の場合などは、データセンターに預けるほうが、新たに人材を雇用するよりも経費が削減できる可能性があります。

また、社内にサーバルームを設置できない場合で、個人情報を取り扱う場合もデータセンターは良いと思います。個人情報の取り扱いに関しては、鍵のかかるサーバルームが必要になるなど、ハード的な側面で結構な投資が必要になります。
仮に、データセンターのある地域に災害が起こった場合、そこにあるデータを利用するクライアント側が非災害地域であった場合など、データセンターが止まってしまうことがあります。

また、止まらなくても、通信状況が非常に悪化してしまった場合などを想定すると、業務に支障が出ることになります。

その他では、通信に必要な帯域を確保しなくてはいけない場合、トータルで経費を見ると回線使用料が割高になることもあります。

更に、サーバに何かしら手を入れたい場合など、データセンターへ入室するための手続きなどが発生し、データセンターにサーバを預けることが、逆に業務のスピードを落とす原因にもなります。
データセンターが良いと思う点は2つあります。まず一つはデータの管理やバックアップをノウハウを持っている業者に任せられるので、安心できると思います。また、今まで自分でデータ管理をしたいた方は気分的に楽になると思います。

そしてもう一つは、何か災害が起きた時に対策が取られていると思いますので、「大事なデータを失ってしまった」ということがなくなることです。以上のことを考えると、データ管理を依頼する側にとってはありがたいと思います。
データーセンターが良くないと思う点ですが、データセンターを運用する側から考えると、まず一つは、サーバー、電源、空調、耐震設備など色々揃える必要があることです。

更に、それらを管理する人や広いスペースが必要になりますので、お金がかかると思います。

そして無視できないのが、サーバーが放熱しているので規模が大きくなればなるほどデータセンター内の温度が上がると思われます。従って、その分温度を下げるために空調をフル稼働させる必要があり、お金がかかると思います。
データセンターへデータを預けることによって、外に居てもモバイル端末とインターネット回線さえあればいつでもどこでもデータを取り出せることができます。いつも同じPCでなくても同じデータを扱えます。

仕事でデータを扱う場合、データの量は多くなりがちです。USBメモリやDVDにデータを移すにしても、容量もそんなに多くありません。

データが増えれば増えるほど持ち歩かなければならないメディアが増えて不便ですが、データを預けることによってとてもスマートになります。
データセンターは100%安心かと言われれば、決してそうではありません。

何かのトラブルがあってデータセンターのデータが全て消えしまったら…実際に、そのような被害にあったことがあります。結局データは一部しか復元されませんでした。

データは実体がないので消えてしまったらそれでおしまいです。外部からの不正アクセスで情報が漏れてしまう可能性もあります。

便利な代わりに、セキュリティの面でも不安があります。完全に頼るのではなく、自分でも対策をしておく必要があると思います。
データセンターの最大のメリットは、サーバ管理の工数のぶれを抑えることができることだと思います。

自前でサーバを立ち上げてもデータセンターに似たことはできるわけですが、ハードウェアなどの設備にかかるお金はともかく、管理者の工数が結構重くなります。しかも、何かトラブルがあると管理者の工数が瞬間的に増大します。

それに、現場でサーバを持つ場合、サーバ管理専門の人を置く余裕がある場合はまれで、大抵開発メンバーがサーバ管理も行うことになり、そのメンバーの本業が切羽詰っているときにトラブルが起きることが多い、気がします。

主観の問題はさておくにしても、データセンターと契約することで、そのような工数のぶれを均すことができるのがメリットだと思います。
データセンターのデメリットは、漏洩リスク、データが失われるリスクをどれほどと考えるのかが読みにくいことだと思います。昨年、クラウドのデータが消失したという事故がありました。

通常、確率と影響からリスク評価を行い、評価値の高いリスクから手を打つという方法を採るのですが、「うちのデータが消える確率は○○%です」などという業者がいるわけもなく、結局業者を信頼するしかなくなります。

しかし実際にデータが消失するという事故が発生しているとなると、このリスクを無視するわけにもいかず、不確実な外部データセンターに頼ることはリスクを増すことになると思います。