英検のメリット
上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。
英語力の客観的な証明
英検は日本国内で非常に認知度が高く、学校や企業で英語能力の証明として活用されています。履歴書に記載すれば、英語能力をアピールする材料となります。特に準1級や1級を取得すると、高い英語能力が証明され、採用面接や昇進などの場面で有利になることがあります。また、取得級に応じて自分の英語力を正確に把握できるため、さらなるスキルアップの指針としても役立ちます。英検を通じて得た資格は、学術的な場面やビジネスの現場で信頼される客観的な指標となります。
多様なレベル設定
英検には5級(初歩的な英語)から1級(最上級レベル)までの7段階が設けられています。この多様なレベル設定により、初心者から上級者まで幅広い層が挑戦できます。例えば、小学生が5級や4級を目指す一方で、ビジネスパーソンや留学を目指す大学生は準1級や1級を目標にすることができます。自分に合ったレベルを選択することで、適切な難易度で学習が進められ、成功体験を得やすくなります。次の級への挑戦がモチベーションとなる点も大きなメリットです。
学習目標の明確化
英検は級ごとに達成すべき具体的な能力が定義されているため、英語学習の目標が明確になります。例えば、3級では中学卒業程度の英語力を証明し、2級では高校卒業程度の実用的な英語力を示します。これにより、自分の弱点を把握しやすく、対策が立てやすくなります。また、合格という目標が設定されていることで、モチベーションを維持しやすくなります。英検の出題形式に沿った学習を進めることで、効率的に必要なスキルを身につけることができます。
学校や大学での活用
多くの学校や大学で、英検の級を取得することで入試の優遇措置や単位認定を受けられる制度があります。たとえば、高校受験や大学受験で加点対象となるほか、一部の大学では英検の取得が英語試験の代替として認められることもあります。また、単位認定制度により、英語の授業を免除される場合もあります。これにより、学業の負担軽減や進学における競争力の向上につながり、英検の取得が進路選択において大きな武器となります。
リスニング・スピーキング対策
英検では、筆記試験だけでなくリスニングやスピーキング試験も実施されるため、総合的な英語力を向上させることができます。特に、スピーキング試験では面接官との対話形式が採用されており、実践的な英会話力が試されます。このような試験内容に対応するための対策をする過程で、リスニング力やスピーキング力が自然に鍛えられます。リーディングやライティングに偏らない学習を進めるため、バランスよく英語力を向上させることができます。
英語を学ぶ基礎の強化
英検の試験内容は、単語、文法、読解、リスニングなど多岐にわたります。これにより、英語を学ぶ上での基礎的な能力をまんべんなく鍛えることが可能です。特に、中学生や高校生が学ぶ英語の内容と密接に関連しているため、学校の勉強と並行して進めやすいという利点があります。また、問題を解く過程で多くの表現や構文に触れることで、英語の基本的なスキルをしっかりと身につけられる点もメリットです。
世界的な英語資格としての認知度向上
英検は日本国内で広く認知されているだけでなく、近年では一部の海外大学でも評価される資格となっています。例えば、アジアやオセアニア地域の大学で、英検のスコアが入学条件の一部として認められるケースが増加しています。また、日本人が多く利用する留学エージェントでも、英検のスコアを提出することが推奨される場合があります。これにより、英検の価値は国内だけでなく、海外でも徐々に認知されつつあります。
子どもから大人まで挑戦可能
英検は年齢制限がなく、子どもから大人まで誰でも挑戦できる試験です。小学生が5級に挑戦して英語学習の第一歩を踏み出す一方で、社会人がキャリアアップのために準1級や1級を目指すケースも多くあります。受験者の年齢層が広いため、家族で一緒に挑戦することも可能です。これにより、家族全体で学習への意欲が高まり、英語学習を通じて世代を超えた交流が生まれることも期待できます。
定期的な試験開催
英検は年3回、全国各地で試験が実施されており、自分の学習ペースに合わせて受験することができます。この定期的な開催スケジュールにより、合格を逃した場合でも次回の試験に向けてすぐに準備を始められます。また、試験日が事前に決まっているため、計画的に学習を進めることができる点も魅力です。忙しいスケジュールの中でも受験しやすい制度が整っていることが、多くの受験者に支持されています。
日本の文化や社会に合った試験内容
英検は日本人の英語学習者を対象に設計されており、日本の教育現場で学ぶ内容と密接に関連しています。そのため、学校で学んだ知識を活かしやすく、日本の社会や教育文化に適した試験といえます。また、日本人が苦手とするスピーキングやリスニングの対策が強化される設計になっているため、英語力を総合的に伸ばすことができます。日本人特有の学習スタイルにマッチした試験である点が、英検の強みの一つです。
英検のデメリット
上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。
国際的な認知度の限界
英検は国内で非常に有名ですが、TOEFLやIELTSと比較すると国際的な認知度が限定的です。海外の大学や企業では、英検の資格を知らない場合も多く、入学や就職の際に英語能力を証明する手段として適さないことがあります。特に、英語圏の国々ではTOEFLやIELTSが標準的な英語資格とされるため、英検を取得しても追加で他の試験を受ける必要がある場合があります。そのため、英検は国内向け資格としての価値が高い一方で、国際的な活用においては限界があります。
実生活での英語使用力との乖離
英検の試験内容は、問題形式や文法に重きを置いており、実際の英会話や日常生活で必要とされる英語スキルとは異なる場合があります。例えば、リスニング問題は試験的な形式で出題されるため、自然なスピードやイントネーションの英語とは異なることがあります。また、スピーキング試験もフォーマルな設定が多く、カジュアルな会話や即興的なやり取りへの対応力を直接測るわけではありません。これにより、実生活での英語運用能力が試験結果と一致しないケースが見られます。
スピーキング試験の制限
英検のスピーキング試験は一次試験に合格しなければ受験できず、さらに別日程で実施されるため、受験者には時間的な負担が生じます。また、試験形式が面接官との1対1の対話に限定されており、多様なスピーキング能力を測るには不十分な場合があります。例えば、グループディスカッションや即興的な発言のスキルは評価されません。その結果、特定の形式に偏ったスピーキング能力が試されることとなり、総合的な会話力を証明するには限界があります。
合否形式のプレッシャー
英検は合否を明確に判定する形式を採用しており、不合格となった場合は次回まで資格を取得できません。この仕組みは、合格へのプレッシャーを生む一方で、スコア制を採用する他の試験と異なり、受験者の英語能力の成長過程を十分に評価しない傾向があります。また、ギリギリで不合格となった場合でも、部分的なスキルが向上している点は反映されないため、受験者のモチベーションが低下する可能性があります。特に若い受験者にとっては、失敗の経験が精神的な負担となる場合があります。
試験費用の負担
英検の受験料は級によって異なりますが、特に準1級や1級は1回の受験で1万円以上の費用がかかります。学生や頻繁に受験する社会人にとっては経済的な負担が大きく、受験をためらう要因となることがあります。また、リスニング対策やスピーキング試験用の参考書、模擬試験の受験料など、付随する費用も考慮すると、英検取得にかかる総費用はさらに増加します。これにより、特に経済的に余裕がない層が英検を活用することが難しい場合があります。
試験形式への依存
英検は独自の試験形式を採用しており、受験者はこの形式に慣れるための対策が必要です。しかし、この試験形式に特化した学習が行われることで、実際の英語運用能力が育成されにくい場合があります。例えば、リーディングやリスニング問題の形式に熟練しても、実際の英語の読解や会話では同じスキルが発揮できないことがあります。また、試験対策の学習に偏ることで、英語の本質的な理解や応用力が養われにくいという課題があります。
問題の難易度差
英検の各級間には難易度のギャップがあり、特に2級から準1級、準1級から1級へのステップアップが大きな壁となることがあります。この難易度差により、受験者は次の級に進むために長期間の準備が必要となる場合があります。また、試験内容が難しくなるにつれて出題形式も変化するため、学習法を見直す必要が生じることがあり、結果的に受験者の負担が増える要因となります。このようなギャップが、モチベーションの低下や挑戦意欲の喪失につながる可能性があります。
資格の有効期限なし
英検は取得した資格に有効期限が設けられていないため、一度合格すればその資格は一生有効です。しかし、これが逆に取得後の英語力維持への意識低下につながることがあります。例えば、高校時代に2級を取得した人が、実際には英語を使用しない環境で過ごして能力が低下していても、2級取得者として評価される場合があります。これにより、実際の能力が資格に見合わないことが起こりやすく、資格の信頼性が低下するリスクがあります。
結果通知の遅延
英検の試験結果は、試験日から数週間後に通知されます。この期間は受験者にとって待ち時間となり、特に次の試験を目指している場合や進学・就職のために早急に結果が必要な場合に不便を感じることがあります。結果通知の遅れにより、学習計画が中断されることや、進路選択に影響を与える場合もあります。近年では一部オンラインでの結果確認が可能になりましたが、改善の余地が残されています。
地方での受験機会の少なさ
英検の試験会場は全国に設けられていますが、地方では試験会場や受験日程が限られることがあります。このため、地方に住む受験者は長距離移動を余儀なくされる場合があり、時間的・経済的な負担が増します。また、試験会場が少ないことで、申し込みが集中して定員オーバーになるケースも見られます。このような地域的な不平等が、英検受験の機会を制限し、受験者のモチベーションに影響を与えることがあります。
みんなの意見
賛成意見 | 反対意見 |
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英検は、履歴書に資格として書くことができる点や大学の推薦入試に有利な点など、資格としての価値があるという所が良いと思います。 更に、英検準2級や2級の勉強がセンター試験にも役立つと言われており、センター試験の勉強のひとつとして英検を役立てる事ができるのも素晴らしいと思うところです。 実際に英検準2級や2級の資格をとれれば、自信もつきますし、センター試験にも本当に役立ちます。 |
英検の良くないと思う点は、現在の社会人に役立つ資格としては不十分であるということです。実際に現在では英検よりもTOEICやTOEFLの方が、社会人には重要視されています。 また、英語学習という点でも、単純な暗記で試験の点数が上がる試験であることや、マークシートによる選択式のテストであることから、本当の英語力向上にはあまり繋がらないと思います。 その他、もしも試験に落ちた場合は自信を失ってしまう危険性があることも良くないと思う理由です。 |
学生時代に英語を勉強するモチベーションになるところがメリットだと思います。英語の授業でも勉強をしてはいるわけですが、資格へのチャレンジという話になると勉強への心構えも変わって、それだけ効果も大きなものとなります。 リスニングの試験もありますので、リスニングの対策もすることとなります。英検の資格を持っていることで、うんぬんと言うよりは、英語の勉強のきっかけになるという意味合いが大きいかと思います。 友人と一緒に英検を受けに行くのもなかなか楽しい思い出になります。 |
世間でそれほどTOEICやTOEFLほどには英語力の証明にならないところが問題点です。 英検はやはり学校での英語の授業の延長線上のような検定なので、実践力を要求されるTOEICやTOEFLと違って、ビジネスなどの場面で英語力を発揮できるというアピールにはなりにくいのが実際です。 社会人になってからあえて英検に挑戦することもないのかもしれません。ただ、英検の1級の試験はかなり難易度が高いので、1級を持っていれば自身の英語力のアピールになるかと思います。 |
英語力を客観的にはかる検定試験として、長く続いている代表的なものなので、信頼感が高いテストです。 最近はあまり英検が重宝されず、TOEICの方が評価対象にされていますが、TOEICはビジネス英語中心なので、一般的な英語力をはかる試験は他にほとんどなく、英検は必要だと思います。 レベルが幅広く、5級は中1程度なので、英語力の高くない人でも受けやすいのは良い点だと思います。順番にレベルを上げていけば、目標にしやすいです。また、点数式ではなく合格か不合格なので、合格できると達成感があります。 |
合格点が比較的低いので、同じ級でも合格者の英語力には幅があり、正確に実力が分からないのは、検定試験としてはマイナスポイントだと思います。 また、検定試験としては当たり前かもしれませんが、どの問題を間違えたとかが分からないので、せっかく受けても自分の弱点などをつかみにくいです。 更に問題はアカデミック寄りなので、人によっては実用性がない英語となってしまうと思います。二次試験に面接によるスピーキングテストを取り入れているのはいいのですが、面接官の質に疑問を感じることがあります。 |
英語学習のためのモチベーションや目標になる点が挙げられます。 目標としていた級をとることができれば、自分のそれまでの学習の成果を測る目安にもなりますし、他人に自分の英語のレベルを示す材料として、英検は最も適した資格試験の一つであると思います。 基本的な文法、リスニング、リーディングの能力をはかる英検は「自分のため」、そして「他人に示す」ことのできる資格であるという点で、非常に評価できます。 |
英検を取得することを目的とした英語学習に陥りがちであるという点は無視できません。どんな資格検定にもつきものですが、傾向というものがあります。 TOEFLを受けるのか、TOEICを受けるのか、英検を受けるのか、その試験によって傾向に合わせた学習をそれぞれの受験者はすることになります。 もっとも、どの試験も基本的な文法やリスニング、リーディング能力をはかることはできるように工夫されています。しかし、出題される文章やシチュエーションはやはり試験ごとの傾向が出てきます。 「資格そのものの勉強」になるあまり、本来の英語学習がおろそかになる…ということが英検のリスク(デメリット)であると思います。 |