メリット デメリット
輸入コストの削減 輸出企業の収益悪化
海外旅行の費用が安くなる 経済成長の鈍化
海外の資産や投資が割安になる 企業の海外進出が停滞
インフレ抑制 雇用への悪影響
企業のコスト削減 国内観光業への影響
外国留学の費用が安くなる 海外投資の収益低下
海外商品が安く買える 地方経済への打撃
外国債券の利回り増加 価格競争力の低下
日本の購買力増加 農業・漁業への影響
エネルギー価格低下 企業の利益圧縮

円高のメリット

上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。

輸入コストの削減

円高になると、日本円で支払う輸入品の価格が安くなります。特に、原材料やエネルギー資源など、日本が多くを輸入に頼っている商品に対して顕著です。例えば、石油や天然ガスなどのエネルギー資源は輸送コストを含めて価格が大きく変動するため、円高時にはその調達コストが削減され、国内の企業や家庭のエネルギー支出を抑えることができます。また、製造業では輸入原材料を使用する企業が多く、円高によるコスト削減が利益率の向上につながります。この効果は、最終的に製品価格に反映されるため、消費者にとっても恩恵があると言えます。

海外旅行の費用が安くなる

円高になると、日本円の価値が海外通貨に対して高まるため、海外旅行の費用が安くなります。例えば、1ドルが100円から90円に円高が進むと、海外での支出に必要な円の額が減少します。航空券、宿泊費、食事、買い物など、旅行中のほぼ全てのコストが円高の影響を受けて軽減されます。このため、海外旅行を計画する人々にとって、円高は絶好のタイミングといえます。また、個人旅行者だけでなく、企業の海外出張コストも削減され、円高はグローバルなビジネス活動にもポジティブな影響を与えます。

海外の資産や投資が割安になる

円高になると、海外の不動産や株式、債券などの資産を購入する際のコストが低下します。例えば、1ドル100円が90円になれば、同じ1,000ドルの物件を購入する際に必要な円の額が減少します。このため、投資家にとっては円高時が海外資産購入の好機となります。また、割安に取得した資産が将来的に円安に戻った場合、大きな為替差益を得る可能性もあります。企業のM&A(合併・買収)活動においても、海外企業を円高のタイミングで買収することで、投資コストを抑えつつ海外事業を拡大する戦略が取りやすくなります。

インフレ抑制

円高は輸入価格の低下をもたらすため、国内物価の上昇(インフレ)を抑える効果があります。エネルギー資源や食品などの輸入品が安くなることで、企業のコスト削減につながり、製品やサービスの価格に反映されやすくなります。特に、輸入品の割合が高い食品や衣料品などの日常消費財の価格が安定することで、消費者の家計負担が軽減されます。日本のように低インフレ傾向の国では、円高による物価安定は家計と企業の両方にとって重要なメリットとなります。

企業のコスト削減

円高は輸入コストを削減するため、特に輸入原材料や機械設備を多く使う製造業やサービス業のコスト構造に大きな影響を与えます。例えば、機械部品や電子部品を海外から調達する企業は、円高によって調達コストを大幅に削減できる可能性があります。このコスト削減は、企業の利益率の向上や価格競争力の強化につながります。また、輸入設備を使った生産性の向上が可能になり、企業の長期的な競争力を強化する効果も期待されます。

外国留学の費用が安くなる

円高は外国留学を希望する学生やその家族にとって大きなメリットとなります。留学先の学費、生活費、交通費など、すべての費用が円高の影響を受けて安くなります。例えば、1ドル100円の時に年間20,000ドルの学費を支払う場合と、1ドル90円の場合では、学費の総額が2割近く異なることになります。このため、円高時には留学の金銭的負担が軽減され、多くの学生にとって留学がより現実的な選択肢となるでしょう。

海外商品が安く買える

円高になると、輸入品の価格が下がるため、消費者が海外の商品をより手頃な価格で購入できるようになります。特に、電子機器、ブランド品、自動車などの高額商品ではその効果が顕著です。例えば、海外のオンラインストアでのショッピングや個人輸入が増加し、消費者の選択肢が広がります。また、価格競争が激化することで、国内市場での価格低下が進む可能性もあり、消費者にとっては恩恵が大きいと言えます。

外国債券の利回り増加

円高時に外国債券を購入すると、将来的に円安に戻った場合に為替差益を得られる可能性があります。また、円高によって割安に購入できた外国債券が安定的な利回りを生み出す場合、日本の投資家にとって非常に有利です。特に、高金利国の債券を購入することで、為替リスクを抑えつつ高い利回りを確保する戦略が可能となります。

日本の購買力増加

円高は日本全体の購買力を強化します。例えば、国際市場でのエネルギー資源や食料品の購入能力が向上し、日本経済全体の安定に寄与します。購買力が高まることで、日本が国際市場で優位性を持つことができ、外交交渉や国際的な取引でも有利な立場を築ける可能性があります。

エネルギー価格低下

日本はエネルギー資源の多くを輸入に頼っているため、円高による輸入価格の低下は、企業や家庭のエネルギー支出を大幅に削減する効果があります。これにより、製造業や運輸業などエネルギーを多く消費する業種のコストが削減され、企業全体の収益改善が期待されます。また、エネルギー価格の低下は電力料金やガソリン価格にも反映されるため、一般家庭の生活コストが軽減され、消費活動の活発化にも寄与します。

円高のデメリット

上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。

輸出企業の収益悪化

円高になると、日本製品を海外に輸出する際の価格が高くなり、海外市場での競争力が低下します。例えば、1ドル=120円のときに10,000ドルの商品を売ると1,200,000円の収益になりますが、1ドル=100円になると同じ商品の収益は1,000,000円に減少します。このように、円高は輸出企業の売上や利益を圧迫します。特に自動車、電機、機械など輸出依存度が高い産業が大きな影響を受け、企業の利益減少が設備投資や雇用にネガティブな影響を及ぼす可能性があります。

経済成長の鈍化

輸出産業は日本経済の重要な成長エンジンの一つですが、円高によりその収益性が低下すると、国内経済全体の成長に悪影響を及ぼします。輸出が振るわなくなると、製造業の生産が縮小し、関連する産業やサービス業も連鎖的に打撃を受けることがあります。また、輸出企業の収益減少が投資や研究開発への支出を減らし、長期的な成長力の低下を引き起こす可能性があります。これにより、GDP成長率が鈍化し、経済全体の停滞につながります。

企業の海外進出が停滞

円高によって海外市場での価格競争力が低下するため、日本企業が新たに海外市場へ進出する意欲が減少する場合があります。円高のタイミングでは、海外での販売価格が高くなるため、需要の伸びが期待できず、進出コストを回収するのが難しくなる可能性があります。また、現地生産を行う計画も抑制され、結果として海外での市場シェア拡大の機会を失うリスクが高まります。これは、長期的に日本企業の国際競争力を弱める要因にもなり得ます。

雇用への悪影響

円高が進むと輸出産業を中心に収益が悪化し、雇用にネガティブな影響を及ぼします。特に地方に多い製造業では、工場の閉鎖や規模縮小による失業リスクが増加します。輸出依存度が高い企業がコスト削減のために人員削減を行うと、地域経済に悪影響が波及する可能性があります。また、派遣社員や契約社員など、非正規雇用者が解雇の対象となりやすく、労働市場の不安定化につながります。

国内観光業への影響

円高により日本を訪れる外国人観光客が減少する可能性があります。円高が進むと、海外から見た場合の日本の観光コストが上昇し、旅行先としての魅力が低下します。その結果、宿泊施設、飲食店、小売業など観光関連産業が影響を受ける可能性があります。また、日本製品を購入することを目的とした観光客の消費活動も減少し、インバウンド需要が低迷します。これは観光業に依存する地域経済に深刻な影響を及ぼします。

海外投資の収益低下

海外での投資による収益は、円高になると円に換算した際に減少します。たとえば、海外株式や不動産投資の配当金や売却益を日本円に変える際、円高が進むとその価値が目減りすることになります。さらに、円高のタイミングで得られる利益が少なくなるため、海外投資全体の魅力が低下する場合があります。これにより、投資家のリスク分散が難しくなり、国内資産に過剰依存する可能性が高まります。

地方経済への打撃

輸出産業が主要な収益源である地方経済は、円高の影響を直接的に受けやすいです。特に、自動車や機械産業が地域経済を支えている地域では、円高による輸出減少が地元企業の収益に悪影響を及ぼし、工場の閉鎖や雇用削減につながります。また、これらの産業に依存する中小企業やサプライチェーン全体が連鎖的に影響を受けるため、地方経済全体の活力が低下する恐れがあります。

価格競争力の低下

円高は日本製品の海外市場での価格競争力を低下させます。輸出先の現地通貨に対して円高が進むと、日本製品の価格が割高に見えるため、現地消費者や企業が他国製品を選ぶ可能性が高まります。この価格競争力の低下により、販売数量が減少し、市場シェアの縮小を招く恐れがあります。特に、価格が重視される分野では、この影響が顕著です。

農業・漁業への影響

円高によって輸入農産物や水産物の価格が下がると、国内産品との価格競争が激化します。その結果、国内の農業や漁業の収益が圧迫される可能性があります。特に、輸入に対抗するためのコスト削減や品質向上の努力が求められる一方で、それが難しい小規模な生産者には大きな負担となります。また、価格低下により生産意欲が低下し、国内産業全体の縮小を招くリスクもあります。

企業の利益圧縮

円高は、海外で得た利益を日本円に換算する際に目減りを引き起こします。例えば、現地で1,000ドルの利益を得ても、1ドル=120円の時と1ドル=100円の時では、円に換算した際の収益が大きく異なります。この利益圧縮は、特に海外事業比率が高い企業にとって大きな問題です。また、円高の影響で海外市場での販売価格が上昇すると、売上そのものが減少するため、企業全体の収益性が悪化する可能性があります。

みんなの意見

賛成意見 反対意見
円高になると、海外旅行、特にアメリカに行くときにドルが安くなるので、アメリカの物価が安く感じますし、買い物をするときに、安く買えることになります。

同じものを買ったとしても、円高になればなるほど、安く買えることになります。

アメリカのスタバに行っても、円高だと、1杯のコーヒーだけでも、安く飲めることになります。円高が続くと、輸入品などの値段が下がって、買いやすくなります。アメリカで化粧品などを買うと、安くなります。
ドル預金を円安のときにしていると、円高になると、差額が損失になって、預金が円で考えたら少なく減ってしまうことになります。預金が自然と、何もしないのに減ってしまうのは非常にがっかりすることです。

円高になっても、ブランド品などの価格にはそれほど影響が出なくて、お得感がありません。

円高になったら、もっと安くなっても良いと思うものが、値段が下がらないので、会社だけが儲かっていることになり、消費者への還元が少なくなってしまいます。
円高は円の価値が上がるので、貯蓄額の価値も上がり、海外旅行や海外商品を安く買えるというのは、お金のあまり無い層には良いと思います。

安く輸入できるので、様々商品・食べ物が安く、私も普段からファーストフードや飲食店で恩恵を受けていますし、海外に旅行も行きました。

為替の関係でとても安くモノを買う事も出来、普通より3割増し位に贅沢な旅を楽しめたのは円高の恩恵です。

欲しかった家具等をヨーロッパから安く取り寄せる事も出来ました。円高を活用して、得する事は沢山あったので、それらの点は良いです。
円高は円の価値が上がるのですが、海外に国内製品を売る事が出来なくなり、国内産業が空洞化し、海外へどんどん工場を移転し、雇用が減り、行き過ぎた円高は経済全体に損失が大きい部分があります。

モノを作って売れないというのはモノ作り日本と言われた我が国にとって大変なダメージで、家電・自動車メーカーは実際円高の影響もあり、とんでもない赤字を抱えてしまい、企業努力だけでどうにか出来る問題ではなくなりました。

その影響で従業員のリストラ、賃金カット、物価低下と負のスパイラルが続き日本経済はどん底に落ちたのは、円高の悪影響は否定できません。
円高の良い点は海外から物が安く買えるということです。日本のような資源のない国にとっては円高は歓迎すべきことです。

特に原発が停止して化石燃料に頼っている今、石油や石炭、LNGなどの燃料を安く買えるということは重要なことです。

そのほかに食料品の値段も円高の方が安く調達できます。日本は食料自給率が低いので、食品全体の値段が為替に左右されてしまいがちです。

輸出企業にとっては円安の方がいいですが、国民生活全体でみると円高の方が安定しているといえます。
一方円高の悪い点は輸出企業がもうからないという点です。日本の基幹産業である「自動車」は特に為替に影響を受けやすいので死活問題です。

また自動車産業はすそ野が広いので多くの企業が影響を受けるという面も持っています。こういった理由で円高になると株価が下がります。

なので国民生活にとっては円高の方がいいけれど、企業活動にとっては全体でみると円安の不が良いいいです。

更に株価が上がると資産価格が上昇して不動産の価格も上昇するので、やはり円高はあまり良い現象とはいえないということです。
円高に進むことは、円が外貨より強くなることですから、海外旅行に行けば、相対的に安価で物が購入できますし輸入品に対しても安価で仕入れることができます。

生活必需品で輸入に頼っている小麦・大豆などは食料品の原材料となるものですから、円高還元セールなどにより私の家計にも大きな恩恵をもたらしていと思います。

ガソリンなどは原価高騰しているのであまり感じられませんが、それでも、円高のお蔭でこの程度で済むと思えば、なんとなく割り切れます。ある程度の円高は歓迎すべきですし、賛成です。
過渡な円高は輸出企業にとっては、不利に働きますので、いくら原材料が安価になっても、海外で物が売れなくなります。

特に、日本は自動車やテレビなどを海外に輸出して利益を得ていたので、それが売れなくなる事は、日本の経済に悪影響を及ぼします。

また、海外企業の競争にも不利な状況なります。加えて、日本国内での生産コスト増加により、大企業の工場が次々と閉鎖になっており、その下請けをしている中小企業も苦しい状態です。

このような円高不況は国内空洞化を招き、日本の将来に陰落としかねません。