メリット デメリット
再生可能エネルギー 初期投資が高額
二酸化炭素排出量が少ない 地熱資源の場所が限られる
安定した発電量 開発までに時間がかかる
燃料コスト不要 環境影響の懸念
小規模から大規模まで対応可能 地熱資源の枯渇リスク
エネルギーの地産地消 周辺地域への影響
設備の長寿命 低い認知度と普及率
独立型電力供給が可能 技術的課題
低い運用コスト 規模の制約
多用途利用 地域住民の反対

地熱発電のメリット

上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。

再生可能エネルギー

地熱発電は地球内部に蓄積された熱エネルギーを利用します。この熱エネルギーはプレートの運動や放射性物質の崩壊によって生まれ、地球が存在する限り持続的に供給されます。そのため、地熱エネルギーは枯渇する心配がなく、再生可能エネルギーの一つとして位置づけられています。太陽光や風力発電のように天候や季節に依存せず、地熱は常に利用可能です。持続可能なエネルギー供給の柱として期待されており、化石燃料のような有限資源と異なり、次世代にわたって利用可能なエネルギー源です。

二酸化炭素排出量が少ない

地熱発電は温室効果ガスの排出量が非常に少ないのが特徴です。化石燃料を燃焼させる火力発電では大量の二酸化炭素(CO2)が排出される一方、地熱発電では地下の熱エネルギーを利用するため燃焼過程がなく、CO2排出量が抑えられます。特にバイナリーサイクル方式などの技術を使用することで、環境負荷をほぼゼロに近づけることが可能です。これは地球温暖化を抑制するための重要な要素であり、カーボンニュートラル社会を目指す現代において、大きな利点といえます。

安定した発電量

地熱発電は、太陽光や風力発電と異なり、天候や季節による影響を受けません。地球内部の熱エネルギーは24時間365日安定して供給されるため、発電量も安定しています。これは特に電力の需要が一定している地域や、停電が許されない病院や産業施設にとって非常に重要です。ベースロード電源としての役割を果たすことができ、他の再生可能エネルギーではカバーしきれない部分を補完します。

燃料コスト不要

地熱発電は燃料を必要としません。化石燃料を利用する火力発電では燃料費が大きなコストを占め、価格の変動が電力供給コストに直結しますが、地熱発電ではこのような影響を受けません。一度設備を設置すれば、地下の熱エネルギーを直接利用できるため、燃料コストを大幅に削減できます。特に化石燃料の価格が高騰する状況において、地熱発電のコスト安定性は大きな利点となります。

小規模から大規模まで対応可能

地熱発電は、地域の規模に応じて柔軟に設計可能です。例えば、小規模な発電所は地域コミュニティや離島などの電力需要を満たすために使用され、大規模な発電所は国家規模の電力供給に対応できます。この柔軟性は、地熱発電の普及において重要です。また、地域の特徴や地質条件に応じた設計が可能なため、エネルギーの効率的な利用が期待されます。

エネルギーの地産地消

地熱資源を利用することで、地域で発電されたエネルギーをそのまま地元で消費する「地産地消」が可能です。これはエネルギーの輸送コストを削減するだけでなく、地元経済を活性化させる効果もあります。例えば、地熱発電所の建設や運営に地元の労働力を活用することで、雇用創出や地域の収入向上が見込まれます。さらに、地域社会が持続可能な形で発展するための重要な手段ともなります。

設備の長寿命

地熱発電の設備は他の再生可能エネルギーと比較して長寿命であることが知られています。例えば、太陽光パネルや風力タービンは20~30年程度の耐用年数ですが、地熱発電設備は適切なメンテナンスを行えばそれ以上使用可能です。この長寿命性により、初期投資を回収しやすく、長期的なコストパフォーマンスに優れています。

独立型電力供給が可能

地熱発電は、電力網が未整備の地域や孤立したエリアでも利用可能です。例えば、離島や山間部などでは、地熱発電を用いた独立型の電力供給システムが導入されることがあります。このシステムにより、地域住民が安定的に電力を利用できるだけでなく、災害時の電力確保にも役立ちます。

低い運用コスト

地熱発電は初期投資が高額である一方、運用コストが低いことが特徴です。燃料を使用しないため、ランニングコストが化石燃料を利用する発電方式と比べて格段に安くなります。特に長期間運用する場合、地熱発電の経済的優位性が顕著になります。

多用途利用

地熱発電は発電以外にも多くの用途で利用できます。例えば、発電で利用した後の熱を温泉施設や農業の温室暖房、融雪装置などに再利用することで、エネルギー効率を高めることができます。この多用途利用により、地域社会全体が地熱資源の恩恵を受けることができます。

地熱発電のデメリット

上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。

初期投資が高額

地熱発電を導入する際、地熱資源の調査から設備建設までに大きな初期費用が必要です。特に地熱資源を見つけるためのボーリング調査や地質解析には高度な専門知識と技術が求められ、それに伴うコストが発生します。さらに、発電所の建設には地質条件に合わせた設計が必要で、これも費用を押し上げる要因です。この高い初期費用は、地熱発電を計画する企業や自治体にとって大きなハードルとなり、普及の妨げとなっています。

地熱資源の場所が限られる

地熱発電は火山活動が活発な地域や地熱資源が豊富な場所に限定されます。日本のような火山国では適した地域が多いものの、都市部や工業地帯には地熱資源が少ないため、需要地との地理的なミスマッチが課題となります。さらに、地熱資源が豊富な場所でも土地利用規制や環境保護の観点から開発が制約されることがあります。

開発までに時間がかかる

地熱発電の開発は、資源調査、環境影響評価、設計、建設など、長いプロセスを要します。地熱資源の有無を確認するための調査段階だけでも数年かかる場合があり、その後の環境影響評価や発電所の建設も含めると10年以上を要することも珍しくありません。この長期間の開発プロセスは、地熱発電の迅速な導入を妨げる要因となります。

環境影響の懸念

地熱発電には環境への潜在的な影響が伴います。例えば、発電過程で有毒ガス(硫化水素など)が放出される可能性があり、周辺の大気や水質を汚染するリスクがあります。また、地下の熱水を利用する際に地盤沈下が発生する可能性も指摘されています。これらの影響を最小限に抑えるためには、適切な管理と技術的対策が求められます。

地熱資源の枯渇リスク

地熱資源は再生可能エネルギーですが、利用方法が不適切である場合、一時的に枯渇する可能性があります。例えば、地下熱水を過剰に抽出すると、地熱の温度が低下し、発電効率が下がることがあります。このため、地熱発電所では地下熱水の適切な管理が必要で、長期的な運用計画を立てることが重要です。

周辺地域への影響

地熱発電所の建設は、周辺地域の景観や観光産業に影響を与える可能性があります。特に温泉地では、地下熱水の利用によって温泉資源が減少することを懸念する声があります。観光地では地熱発電所の設置が景観を損ねると考えられる場合があり、地域住民や観光業者との意見調整が必要です。

低い認知度と普及率

地熱発電は他の再生可能エネルギー(太陽光や風力)に比べて認知度が低く、普及率も高くありません。これは、地熱発電の特性上、適した場所が限定されることや、初期投資が高額であることが原因です。さらに、地熱発電の成功事例が限られているため、投資家や自治体にとっての信頼性が低いという課題もあります。

技術的課題

地熱発電は、地下深部の熱源にアクセスするための高度な技術を必要とします。特に、地下の高温高圧環境に耐える機器や、熱エネルギーを効率的に変換する技術が求められます。また、地質条件によっては掘削や設備の設置が難しく、コストや時間がさらに増加する場合があります。これらの技術的課題は、地熱発電の導入を妨げる要因となっています。

規模の制約

地熱発電の発電量は地熱資源の規模や地質条件に依存します。小規模な地熱資源では発電量が限られ、大規模な電力需要を賄うことが難しい場合があります。また、熱エネルギーの利用可能量が地質条件によって左右されるため、すべての地域で同じ発電効率を期待することはできません。

地域住民の反対

地熱発電の開発には、地域住民や利害関係者との意見調整が不可欠です。特に、温泉地では温泉資源の枯渇や観光産業への悪影響を懸念する声が強く、地熱発電所の建設に反対される場合があります。また、地域住民の間では地熱発電についての知識不足や誤解が原因で、反対運動が起こることもあります。こうした反対を解消するためには、十分な説明と信頼構築が必要です。

みんなの意見

賛成意見 反対意見
地熱発電とは、地中に水を流し、地熱によって発生した水蒸気がタービンを回し、発電するシステムのことです。

地熱発電のメリットは環境性能が良いことです。火力発電と比較すると、化石燃料を使用しないため、資源の枯渇問題に効果的です。

また、化石燃料を使用しないということは、二酸化炭素をほとんど排出しません。すなわち、地球温暖化防止にも効果があるということです。

日本においては、火山が多いため地熱が他の国と比べて高い所が多くあります。日本にとっては、大変良い発電システムだと思います。
地熱発電を効果的に行うためには、地熱の高いところを選定して、地熱発電システムを設置するのがベストです。地熱の高いところとは、火山のある地域になります。

日本において、火山のある地域は、ほとんど温泉のある観光地となっています。そんなところに地熱発電システムを設置すると景観が壊されてしまいます。

私もそうですが、日本人の多くは古くからある「わびさび」の景観は大切にします。これが、地熱発電システムが普及しない原因であると思います。従って、地熱発電システムのデメリットは、設置場所が限られるということだと思います。
地熱発電の良い点は再生可能エネルギーという点ではないかと思います。そして、火力エネルギーのように温室効果ガスを発生させず、燃料の枯渇の心配もない環境にもクリーンなエネルギーであるからです。

再生可能エネルギーは他にも風力発電や太陽光発電も有りますが、両者ともエネルギーを生成できる時間などは限られています。

ですが、地熱発電は常時地熱からくる蒸気のエネルギーを利用して発電をするので、風力、太陽光などの発電の時間が分断する事がないという点も良い点のひとつとしてあげたいと思います。
地熱発電の良くないと思う点は、発電できる場所での諸々の問題だと思います。

地熱発電ができる場所は温泉地や国立の自然公園などが多く温泉地では地域住民の反対、自然公園などでは政府や自治会などの法例、条例などが建設などの障害となり思うように施設を建設できないという点です。

建設できたとしても、温泉地への湯量の影響、自然公園の環境破壊や景観破壊など国特有の観光資源が衰退や失われてしまうかもしれないという懸念が有るのが良くない点だと思います。
地熱発電を良いと思う点はまず第一にコストの軽減可能性とそれから日本が火山大国だという事実ですね。

地熱発電が必要とするエネルギー源はその名の通り地熱です。日本が火山大国で在るという事は温泉の多さで分かると思いますが温泉自体は地熱発電に使えません。

しかしながら、地熱発電に使用可能な場所というものは多く存在します。太陽光発電や風力発電など他の自然エネルギーに比べて安定した出力を得られるという事も大きなメリットですね。
地熱発電のデメリットは場所が制限される事と技術的な問題点、そしてそれがどういったものか理解されていないという事です。いくら日本が火山大国といってもそこらへんを掘れば良いというものでは在りません。

やたら自然エネルギーをと叫ぶ人の中には温泉程度の温度で実用性のある地熱発電が可能だと考えてる方もいるようですが、それは現実的ではありません。技術に対する無理解による恐怖感という物もあるようです。

温泉地近くに建設を予定したときに冷却用の触媒が温泉に影響を与える可能性を嫌った地域住民から反発を受けた事例もあるようです。
地熱発電の良いところは、何といっても自然エネルギーの中で抜群の安定供給を誇っていることです。火力発電や原子力発電のような熱エネルギーによって蒸気を発生させ、ファンでタービンを回すという典型的な発電手法を用いています。

しかも動力源となる熱エネルギーは地下のマグマという無尽蔵のクリーンエネルギーです。不安定さというネックが課題となっていた自然エネルギーの中では、優秀な部類に入ると思います。
地熱発電の悪いところは、何といっても施設自体が大規模となるために、施設立地による周辺への環境への悪影響が心配されることです。

日本を例にとってみれば、日本の地熱発電が可能な土地には、既に温泉施設が立地しているか、あるいは国定・国立公園に指定されているという状況下にあります。

施設を建てるとなれば、同じように地下熱を利用している温泉施設との地熱を巡っての軋轢が発生する可能性や、自然保護の観点から、国定・国立公園内への開発が、自然保護団体から反発を受けるのは確実です。

最近、環境省が国立・国定公園内の地熱発電への規制基準を許容して批判されたように、地熱発電にはまだまだ拭いきれない悪印象があるのです。