メリット | デメリット |
---|---|
有限責任 | 設立手続きの煩雑さ |
信用力の向上 | 維持費用の増加 |
税制上の優遇措置 | 社会保険の負担 |
社会保険の整備 | 事務作業の増加 |
事業継続性 | 利益配分の制約 |
資金調達の柔軟性 | 意思決定の制約 |
社員採用のしやすさ | 設立時の資本金負担 |
事業規模拡大の対応力 | 倒産リスクの高まり |
経費計上の柔軟性 | 税制面での不利益 |
法的保護と権利 | 柔軟性の低下 |
法人化のメリット
上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。
有限責任
法人化すると、会社の債務は法人そのものが責任を負うため、代表者個人の財産が原則として保護されます。個人事業主の場合、事業の負債や損失はすべて事業主個人が無限責任で負担する必要がありますが、法人化した場合、出資者(株主)の責任は出資した資本金の範囲内に限定されます。これにより、リスクを限定的に抑えることが可能です。ただし、金融機関からの融資では代表者の個人保証を求められる場合もあるため、完全にリスクがなくなるわけではありません。この有限責任の仕組みは、大規模な事業に乗り出す際や複数の出資者を募る際に特に有用です。
信用力の向上
法人化することで、個人事業よりもビジネスの信頼性が高まります。法人は登記簿に記録されるため、会社の存在が公的に確認可能であり、契約先や取引先に安心感を与えます。また、法人であることで、規模が大きく安定している印象を与えることができ、顧客やパートナー企業、金融機関からの信用を得やすくなります。特に大企業や公的機関との取引においては、法人であることが前提条件となる場合もあります。法人化により、事業の規模や信頼性をアピールしやすくなるのが大きな利点です。
税制上の優遇措置
法人化すると、税制上の優遇を受ける機会が増えます。法人税の税率は一定で、累進課税の個人所得税よりも低い場合があります。また、法人では従業員や役員に対する給与を経費として計上できるため、所得を分散させることが可能です。さらに、福利厚生費や会議費など、法人でしか認められない経費項目もあり、節税の幅が広がります。損失が発生した場合には、損失を翌期以降に繰り越すことが可能で、利益が出た年度の税負担を軽減することもできます。
社会保険の整備
法人化により、健康保険や厚生年金保険に加入する義務が生じます。これにより、従業員や役員を対象とした社会保険制度を整えることができます。個人事業主の場合、国民健康保険や国民年金が適用されますが、法人ではこれらに比べて手厚い保障を受けられる厚生年金や健康保険に加入できます。特に、従業員にとって福利厚生の充実は雇用の安定性を示す要因となり、採用の際にも魅力的な条件となります。
事業継続性
法人は独立した法的存在であるため、代表者の死亡や引退によって事業が終了することはありません。個人事業主の場合、事業主が亡くなるとその事業は自動的に終わり、相続手続きなどが必要になりますが、法人では別の代表者を選任することで事業を継続できます。この仕組みは、長期的な事業計画を立てたり、投資を募ったりする際に大きな利点となります。特に、家族経営や次世代への事業継承を視野に入れている場合、法人化することでスムーズな引き継ぎが可能になります。
資金調達の柔軟性
法人では、株式や社債の発行により多様な方法で資金調達を行うことができます。個人事業主の場合、自己資金や銀行融資に限られますが、法人化することで第三者からの出資を受けたり、資本市場から資金を調達したりすることが可能になります。特に、株式上場を目指す場合には、法人であることが前提となります。これにより、成長戦略に必要な多額の資金を効率よく集めることができます。
社員採用のしやすさ
法人化することで、企業としての信頼性が高まり、求人市場での競争力が向上します。法人であることは事業の安定性を示し、特に優秀な人材を引き寄せる際に有利です。また、法人化により、福利厚生や社会保険を整備することが可能になるため、従業員の満足度が向上し、離職率の低下にもつながります。これらの要因は、企業文化の向上や事業拡大において重要です。
事業規模拡大の対応力
法人化は、事業が拡大するにつれて管理体制を整える上で効果的です。大規模な事業では、個人事業主として運営するよりも法人化した方が効率的であり、特に法的な面や財務管理の透明性が求められる場面で有利です。また、法人化による信用力向上や資金調達能力の拡大が、さらなる事業規模拡大を促進します。
経費計上の柔軟性
法人では、個人事業主に比べて経費として認められる範囲が広がります。例えば、家族に対する給与を役員報酬として計上することで、所得を分散させ、全体の税負担を軽減することができます。また、法人独自の経費項目(福利厚生費や役員報酬など)を活用することで、効率的に経費を管理しながら節税が可能です。
法的保護と権利
法人は法律上の人格を持つため、契約や訴訟において個人よりも有利な立場を取れる場合があります。法人化することで、商標や特許などの知的財産権の保護がしやすくなり、法的なリスクに対処する能力が高まります。特に、複雑な契約や国際的な取引を行う場合、法人であることが前提条件となる場合もあります。
法人化のデメリット
上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。
設立手続きの煩雑さ
法人化には、定款の作成や公証役場での認証、法務局での登記など多くの手続きが必要です。また、会社設立には登録免許税や認証費用などがかかり、これらは個人事業主の開業に比べて手間と費用が大幅に増加します。特に定款作成では法律知識が求められるため、司法書士や行政書士に依頼することが一般的です。加えて、法人設立後も必要な許認可を取得する場合があり、事業内容によってはさらに時間がかかることもあります。これらのプロセスは初心者には難しく、専門家のサポートが必要になる場合もあります。
維持費用の増加
法人には維持するための固定費が発生します。例えば、赤字の場合でも法人住民税の最低額を支払う必要があり、個人事業主では発生しないコストが追加されます。また、決算書や税務申告書の作成には会計事務所や税理士への依頼が一般的で、その報酬も維持費用として計上されます。さらに、役員変更や本店移転など、登記内容を変更するたびに登記費用が発生します。これらの固定費が事業収益を圧迫する可能性があり、特に小規模な法人では負担に感じられることがあります。
社会保険の負担
法人化すると、社会保険への加入が義務付けられるため、従業員の給与に加えて社会保険料の会社負担分が発生します。これは個人事業主に比べて大きなコスト増加となります。具体的には、健康保険料や厚生年金保険料の半額を会社が負担する必要があります。この負担は事業の規模や収益性によっては経営を圧迫する要因となり得ます。また、保険料の計算や納付は手間がかかるため、外部の専門家に依頼することもコスト増加の要因になります。
事務作業の増加
法人化に伴い、帳簿作成や決算報告、税務申告などの事務作業が複雑化します。個人事業主では簡易的な確定申告で済む場合が多いのに対し、法人では複式簿記を採用し、貸借対照表や損益計算書などの作成が義務付けられます。また、税務調査の対象となる可能性が高まり、適切な記録と報告が求められます。このため、日常業務に加えて管理業務の負担が増し、専任の経理スタッフや外部の専門家を雇う必要が生じることもあります。
利益配分の制約
法人では、会社の利益を自由に使うことができません。個人事業主の場合、事業収益はそのまま個人の収入として扱えますが、法人の場合、利益は会社のものとされます。そのため、利益を個人で使用するには役員報酬や配当という形で受け取る必要があり、これらには所得税や住民税が課されます。また、役員報酬の変更は年度ごとに制約があり、臨機応変な調整が難しい場合があります。このような利益分配のルールは、事業主にとって柔軟性を欠く要因となります。
意思決定の制約
法人化すると、意思決定に時間がかかる場合があります。特に、取締役会や株主総会の承認が必要な事項では、迅速な対応が難しくなることがあります。また、複数の株主が存在する場合、意見の対立により意思決定が停滞するリスクがあります。個人事業主であれば、すべての決定を自分で行えるため柔軟性が高いですが、法人では規模や組織形態によって迅速な対応が難しくなる場合があります。このため、重要な決定を行う際には、計画的な進行とコンセンサス形成が必要です。
設立時の資本金負担
法人設立時には資本金を準備する必要があります。資本金は会社の信用力を示す一因であり、特に外部からの資金調達や取引先との契約時に影響を与えます。そのため、最低限の資本金ではなく、一定額以上を用意することが一般的です。しかし、この初期投資は資金的な負担となり、特に小規模事業やスタートアップ企業では課題となります。設立後も資本金の額が事業拡大に影響する場合があり、初期段階での適切な資金計画が重要です。
倒産リスクの高まり
法人が倒産した場合、清算や破産手続きが必要になり、そのプロセスは複雑で時間がかかります。また、法人としての債務は有限責任であっても、代表者が個人保証をしている場合には、その保証分について個人が責任を負うリスクがあります。特に、資金繰りが悪化した際には、金融機関からの借入条件が厳しくなり、結果的に事業を継続できない場合があります。このような状況に備えるため、資金計画やリスク管理が重要です。
税制面での不利益
法人化すると、赤字の場合でも法人住民税の均等割が課されるため、個人事業主には発生しない固定費が必要となります。また、一部の税制優遇が適用されなくなる場合もあり、特に小規模事業では税負担がかえって増加する可能性があります。さらに、税務申告が複雑で専門知識を必要とするため、外部の税理士への依頼が一般的であり、その報酬もコストとなります。このため、法人化による税制上のメリットが十分でない場合、負担が大きく感じられることがあります。
柔軟性の低下
法人化すると、事業の開始や終了、変更が個人事業主ほど簡単にはいきません。法人は法的な存在であり、解散する際には清算手続きや登記の抹消など、多くのプロセスが必要です。また、法人格を維持するためには法令を遵守し、定期的に決算報告や税務申告を行う必要があります。これらの規制や義務は、事業の柔軟性を損なう要因となり、特に事業規模が小さい場合には負担に感じられることがあります。
みんなの意見
賛成意見 | 反対意見 |
---|---|
法人化のメリットは税金や経費だと思います。普通にサラリーマンをやっている人には関係ない話だと思います。 しかし、今はインターネットの普及と不景気で、インターネットを使って副業をしている人も多くいます。副業で稼いだ収入にももちろん税金はかかります。税金はばかになりません。特に稼げば稼ぐほど額が半端ではなくなります。 法人化すれば、この副業の収入に対する税金を安くすることができます。また、サラリーマンのように経費控除を受けることもできます。法人化のメリットです。 |
法人化のデメリットは会社の設立や会社の維持にお金がかかることです。会社設立には登記費などの費用もかかりますし、登録免許税などの税金もかかります。 書類を作成したり、人を集めたり、役所に行ったりと、手間もすごくかかります。お金と手間がかかるのは会社の設立だけではありません。毎年、地方税などの税金もかかります。 株式会社でしたら、定期的に役員を変更して登記しなければなりません。会計も複式簿記でなければなりません。しっかりと収入があり、手間でも構わない人でなければ法人化はやめた方が良いと思います。 |
法人化とは、個人事業主が株式会社や有限会社などの会社を設立することを指します。事業の規模が大きくなってきた時に法人化する人が多いと思うのですが、個人事業から法人化することのメリットについて簡単に説明します。 まず、負債に対する責任です。個人事業の場合、負債に対する責任は無限ですが、法人になると有限になります。 次に挙げられるのが節税です。事業の売上が伸びれば、その分払う税金も大きくなりますが、法人の場合、事業にかかる家賃や事業者の保険などが経費に算入でき、確定申告の際に控除を受けられます。 |
法人化すると、簡単に会社を辞められないというデメリットがあります。辞める場合は、倒産となりますから、面倒な清算や廃業手続きが必要になります。 廃業費用も掛かります。設立時にも様々な手続きが必要ですから、ある程度、覚悟を決めた人でないと法人化するべきではないと思います。 また、法人化すると会社の資産を勝手に使うことができません。使う場合は決算に計上する必要があります。自分一人で経営していたとしても、利益を得たお金が自分のものではないような感覚になります。 |
有限会社や株式会社など、法人の最大のメリットは債務責任が有限であるという事だと思います。個人事業ならこういう訳にはいきません。 事業の債務は全て背負う事になります。以前会社を倒産させた友人がいましたが、今はサラリーマンとして安定した生活を送っています。 また法人化する事によって対外的な信用が高まるという事も大きなメリットです。信用が高まると依頼される仕事の規模や資金の融資額も個人事業に比べて大きなものになります。 |
法人化するデメリットはその煩雑な手続きでしょう。まず設立するだけでも役員の選定、定款の作成など面倒でややこしい手続きが必要です。 経理関係でも確定申告に必要な帳簿、必要な資料が変わってきます。貸借対照表や損益計算書などの決算書は作成するのにかなりの知識が必要です。 また会社を解散する場合も個人事業なら簡単ですが、法人の場合はややこしい清算手続きを経ないと止められないのです。以上のように複雑な手続きが必要になる事がデメリットであると思います。 |
大企業は法人化が当然ですが、ここでは個人事業か、法人化かという零細企業の場合のメリット、デメリットを考えます。まず、株式会社などの法人化は、信用が高まり、金融機関からの資金調達が容易になる事です。 法人化すれば必ず借り入れができると言う訳ではありませんが、事業規模、事業成績、が同じなら相対的には、個人事業より法人の方が有利と言われています。 また、個人事業では倒産の場合には、負債は個人が負い、自己破産などで清算する以外ありませんが、株式会社などでは、個人保証をしていない限り、有限責任であり、自己破産まで至らずに済む可能性が高いことです。 |
零細企業が、株式会社などの法人化をする場合、まず会社設立手続きが面倒で、行政書士さんなどに依頼すると費用が掛かる点です。 また、会社組織などにすれば、役員や総会の決議など決算手続きも面倒になります。NPO法人のような形態でも、名称は違っても、同様の決算手続きが必要です。 従って、起業するような場合には、まず個人事業として始め、事業が起動に乗り、事業拡大を図るようなタイミングで、金融機関からの借り入れを少しでも容易にするため、法人化するのが得策と言えそうです。 |
法人化のメリットはやはり信頼度が上がることだと思います。特に積極的な営業が必要な事業の場合、個人事業主ですとアポイントメントを取る為の電話をしても、担当者に繋いでもらうことすら出来ずに断られる事が多いです。 しかし法人格であれば、同じ断られるにしても、FAXや郵送にて資料の送付を許可してもらえる場合が多々あります。 また、ホームページや登記簿に資本金を公開することになりますので、営業先だけではなく、消費者からの信頼度も上がることに繋がります。 この消費者からの信頼度は、通信販売業を行う際に、お客様が最も意識することであると思います。 |
法人と個人事業主で最も違う点は、社長のお給料の取り方です。個人事業主であれば、今月は儲かったから100万円、次の月はあまり儲からなかったから10万円などと、その月の売上に応じて自分の給料を取る事が出来ます。 これに対して、法人の場合は、設立して最初に自分へ支払った給料の額で、その年度を通さなければいけません。 すなわち、次の年度までは給料の額を変えることができません。一部例外がありますが、その場合は管轄区の税務署に出向いて、申請の為の説明や手続きが必要となります。 また、申請したからと言って必ず許可が貰える訳ではないので、低資金で法人化にすると、個人事業主では行える自転車操業に限界があるので注意が必要です。 |