メリット デメリット
企業の利益増加 税収減少
投資促進 格差拡大
雇用創出 公共サービスの低下
外国企業の誘致 不公平感の増加
競争力の向上 企業のモラルハザード
税収の安定化(長期的視点) 景気依存リスク
株主還元の増加 外資依存のリスク
中小企業の経営安定化 不均衡な発展
産業の多様化 政策効果の不確実性
イノベーション促進 国際的批判の可能性

法人税減税のメリット

上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。

企業の利益増加

法人税の減税は、企業の税負担を軽減し、純利益を増加させる直接的な効果があります。これにより、企業は従業員の賃上げや事業拡大、配当金の増加などに資金を充てることが可能になります。特に、経済的に余裕の少ない中小企業にとっては、減税が資金繰りの改善に直結し、倒産リスクを軽減する効果も期待されます。また、税負担が軽減されることで、企業は長期的な視点でリスクを取った新規事業や海外進出などのチャレンジを行いやすくなります。結果として、企業の競争力向上や収益の安定化が期待されるため、経済全体にもプラスの効果をもたらす可能性があります。

投資促進

減税により企業の手元に残る資金が増えると、その資金を新たな設備投資や研究開発に回すインセンティブが高まります。企業は減税分を活用して最新技術の導入、製造ラインの効率化、製品の品質向上などに投資しやすくなります。特に、資本集約型産業では法人税率のわずかな変化が、投資行動に大きな影響を及ぼします。また、税制上の優遇措置がある場合、特定の分野や技術(例えば再生可能エネルギーやAI分野)への投資が促進される可能性があります。これにより、国内市場の活性化やグローバル競争での優位性確保が期待されます。

雇用創出

法人税減税によって企業が新たな事業を展開したり、生産能力を拡大したりすると、新たな雇用が生まれます。特に中小企業や成長産業では、減税による資金余裕が従業員の増員につながりやすいと考えられます。また、従業員数が増加することで失業率の低下が期待され、地域経済の活性化にも寄与します。さらに、企業の利益増加により、既存従業員への賃金上昇や福利厚生の充実も可能となるため、労働市場全体の環境改善につながることが予想されます。

外国企業の誘致

法人税率が低い国は、海外企業にとって拠点を置く魅力的な場所となります。特に、アジアや新興市場での競争が激しい中、日本が法人税を引き下げることで、海外企業が工場やオフィスを設置する可能性が高まります。外国企業の進出は、直接投資の増加だけでなく、関連するサプライチェーンの発展や雇用創出をもたらします。また、外国企業との競争が国内企業にとって刺激となり、生産性の向上や技術革新が促されるという二次的な効果も期待されます。

競争力の向上

法人税率が高いと、国内企業は海外市場での価格競争力を維持するのが難しくなります。一方で、税率を引き下げると、製品やサービスの価格を抑える余地が生まれ、国際市場での競争力が向上します。また、税負担が軽減されることで、企業が長期的な成長戦略を立てやすくなり、新市場の開拓やブランド力の向上を目指した投資が進む可能性があります。このように、法人税減税は国内産業の国際的な地位を強化する手段となります。

税収の安定化(長期的視点)

短期的には法人税減税による税収減が懸念されますが、経済活動の活性化が進むと、最終的には税収が安定する可能性があります。企業の利益が増え、取引量が増加すれば、他の税目(消費税、所得税など)の税収も増えるため、総合的な税収への影響は抑えられると考えられます。特に成長分野の企業が増えることで、税基盤が拡大し、財政の健全化にも寄与する可能性があります。

株主還元の増加

法人税が軽減されることで、企業は株主に対する配当金の増加を図る余裕が生まれます。これにより、株主利益が向上し、株式市場が活性化します。個人投資家や機関投資家にとって魅力的な投資環境が整うため、国内外からの投資資金の流入が期待されます。株主還元が増加すると、株式市場全体のパフォーマンスが向上し、個人資産の増加や年金基金の運用改善にもつながる可能性があります。

中小企業の経営安定化

大企業だけでなく、中小企業にとっても法人税減税は大きな恩恵をもたらします。中小企業は経営資源が限られており、税負担が軽減されることで、資金繰りの改善や運転資金の確保が容易になります。これにより、経営リスクが低下し、安定的な事業運営が可能になります。また、中小企業が成長できる環境が整うと、地域経済全体の活性化にも寄与します。

産業の多様化

法人税の減税により、新しいビジネスモデルや業界への参入が促進されます。特にスタートアップ企業にとっては、減税が事業の初期段階での資金負担を軽減し、イノベーションの実現を後押しします。また、新興産業への投資が増えることで、既存の産業構造が変化し、経済全体の成長に寄与する可能性があります。これにより、持続可能な成長を支える多様な産業基盤が形成されます。

イノベーション促進

法人税が軽減されることで、企業が研究開発(R&D)に回せる資金が増加します。これにより、新しい製品や技術の開発が進み、国際市場での競争力が向上します。特に、長期的な視点で収益が期待される分野(AI、再生可能エネルギーなど)への投資が活発化することで、社会全体の技術水準が向上します。また、技術革新は新しい市場を創出するため、経済成長の持続可能性にも貢献します。

法人税減税のデメリット

上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。

税収減少

法人税減税の直接的な影響として、政府の税収が減少することが挙げられます。減税による経済活性化を期待しても、短期的には税収不足が問題となります。この不足分を補填するために、他の税目(消費税や所得税など)の引き上げが検討される場合もあります。特に、財政赤字が深刻な国では、減税が財政の健全性を損なうリスクが高まります。また、公共サービスへの予算削減を余儀なくされる可能性もあり、社会全体への影響が懸念されます。

格差拡大

法人税減税の恩恵は主に大企業や利益を多く上げる企業に集中しがちです。一方で、中小企業や新興企業は恩恵を受けにくい場合があります。その結果、経済格差が広がり、社会的な不公平感が増大する可能性があります。また、法人税減税により得られた資金が雇用や賃金改善に回されない場合、労働者や地域経済には直接的な利益が波及しないため、格差の固定化が進む恐れがあります。

公共サービスの低下

税収減少は、教育、医療、インフラ整備、福祉などの公共サービス予算の削減を引き起こす可能性があります。特に、低所得層や地方自治体における公共サービスが削減されると、地域格差が拡大し、社会の安定性が損なわれる恐れがあります。また、公共サービスの質が低下すると、長期的には労働力の質や生産性にも悪影響を及ぼし、経済全体の競争力が低下するリスクがあります。

不公平感の増加

法人税減税が行われる一方で、個人所得税や消費税が引き上げられる場合、一般市民にとって税負担が増加したように感じられます。これにより、企業が優遇されているという不満が高まり、社会的な不満や対立を引き起こす可能性があります。また、法人税減税が十分に労働者や地域経済に波及しない場合、減税政策の効果が疑問視され、政策への信頼が低下する恐れもあります。

企業のモラルハザード

法人税の減税によって得た利益が、投資や雇用拡大に活用されず、内部留保の増加や経営陣の報酬増加に回る可能性があります。この場合、減税が本来の目的である経済活性化に寄与せず、むしろ一部の企業や経営者だけが利益を享受する結果となります。また、減税による利益が将来的なリスク回避のために蓄積される一方で、イノベーションや新規事業への挑戦が減少する恐れもあります。

景気依存リスク

法人税減税による経済効果は、景気の状況に大きく依存します。好景気であれば減税の効果が顕著に現れますが、不景気の際には企業が追加投資や雇用創出を行わず、減税の効果が限定的になる場合があります。また、景気回復を目的に減税が行われても、十分な需要がなければ企業の活動が活発化せず、経済全体への波及効果が乏しい可能性もあります。

外資依存のリスク

法人税減税によって外国企業の誘致を図る場合、一部の企業は短期的な利益のみを求めて進出し、条件が不利になるとすぐに撤退するリスクがあります。これにより、地域経済が一時的な成長に依存することになり、長期的な発展が損なわれる可能性があります。また、外国企業への優遇措置が国内企業の不満を招き、政府への批判が高まることも懸念されます。

不均衡な発展

減税による恩恵は、業種や企業規模によって偏る場合があります。例えば、利益率の高いITや金融業界は大きな恩恵を受ける一方で、低利益率の製造業や中小企業には減税の効果が限定的となる可能性があります。このような不均衡は、産業間の格差や地域間の経済格差を拡大させる要因となり、長期的な経済の安定性を損なう恐れがあります。

政策効果の不確実性

法人税減税が必ずしも経済成長や雇用創出につながるとは限りません。企業が減税分をどのように活用するかは予測が難しく、特に経営戦略や市場環境によって大きく異なります。また、企業が減税の恩恵を主に内部留保や株主配当に回した場合、期待された経済波及効果が得られない可能性があります。このような政策効果の不確実性は、減税のコストパフォーマンスを低下させる要因となります。

国際的批判の可能性

法人税減税競争が激化すると、他国から「税の抜け道を提供している」と批判される可能性があります。特に、国際的な税制調和を目指す取り組み(例えばOECDのBEPSプロジェクト)と矛盾する政策が実施された場合、国際的な信用が損なわれる恐れがあります。また、税率競争が続くと、各国が財政基盤を弱体化させる「底辺への競争」を招くリスクもあります。

みんなの意見

賛成意見 反対意見
法人税が減税される事は、儲かっている企業が税金ではなく、自由に企業が使えるお金を増やせる事となり、その結果、設備投資等が増え、企業の更なる成長を促すと言う政策としてまともな政策と言えます。法人税率が世界各国に比較して高過ぎれば、企業は海外に逃げていく事もあり、世界水準に引き下げる事はある意味当然と言えます。法人税を引き下げても多くの企業が利益を上げている状況に無ければ、意味がありませんが、現在は企業利益が好調なタイミングであり、タイミングとしても良く、この政策には概ね賛成できます。 法人税減税はタイミングを含めて、概ね賛成ですが、減税分が設備投資に向かいつつあるものの、従業員の賃金アップに余り振り向けられていない事は課題です。野党の一部は、企業の内部留保は悪であるかのような発言をしていますが、これは当たりません。自民党が企業に対して、賃金の引き上げを経済界に要請していますが、これもある意味おかしな現象と言えます。賃上げは、労使間での協議の中で、労働側がある意味勝ち取っていくものですが、公務員の労働組合は強くても、民間企業の労働組合の力は小さくなり続けています。野党がもっと経済界に物申せるほどの力を付け、民間の労働組合を強力にバックアップできる力を持つ事が、労働分配を増やすために必要な事で、労働配分に減税分が振り向けられない事をもって、反対という意見は的を射ていないと思います。
法人税を減税すれば、日本で会社を設立し易くなる点は良い点だと思います。日本国内での雇用も促進されて、就職先の選択が増えることにもつながります。また、減税により企業の利益がアップすれば、会社員に還元されて賃金の上昇やボーナスの支給額もアップするので、結果的に労働者にも利益になるはずです。賃金が増えれば、消費者も商品を購入し易くなり、一人あたりの買い物額も増えるので、消費が増え、景気もよくなるので、うまく循環すればよい点もたくさんあります。 日本は国際的にも法人税の高い国のひとつです。法人税が高いのなら、国が受け取る税金も高いかというと、実際はそうでもありません。会社が国内にあっても、多国籍の経営などで、主な税金が他国で徴収されるようにすることも可能です。日本の法人税が長期的に高止まりであったため、利益の大きなメガ企業はこの方法を取っているところも多く、名目上の法人税と実際の法人税に大きな差があることが問題だと思います。また、国際的な競争も激しくなっている現在、法人税を減税しても、法人税の減税→企業が利益を増やす→賃金アップ→消費の拡大という良い循環が起こらず、税金をつかっただけということも懸念されると思います。
法人税減税のメリットは、日本国内経済全般に波及します。例えば給与水準の上昇、企業の投資拡大など、経済の潤滑油として潤いを期待できます。日本の法人税率は現在、世界各国の中で高水準です。税率の高さが足かせとなり、伸び悩んでいる分野も少なくありません。さらに、法人税を減税すれば、海外からの投資も活発化します。高すぎる法人税のため、二の足を踏んでいた外国投資家や企業を呼び込む大きなチャンスになるでしょう。経済の流れが流暢になれば、一般消費も活発化するはずです。 法人税の減税は、大企業など力のある分野にとってはメリットがあります。一方、単純作業に従事している末端労働者に、そのメリットが届くかどうかは疑問です。法人税減税によって「豊かな層」と「貧しい層」の格差が広がる可能性もあります。そのため、格差の生む弊害にも目を向けなくてはなりません。犯罪率が上昇したり、非エリート層の意欲喪失などの懸念もあります。「社会全体としての幸福感を実感できる国」を目指す経済政策が望まれます。
法人税減税に賛成です。理由は海外からの投資が活発になるからです。海外からの投資が増えることで工場や倉庫、店舗など様々な業態で人材が必要になります。そのため求人数が増えることで国だけでなく地域にお金が落ちるのです。地域であれば道路や福祉、環境対策に多額の費用を計上できますし一般家庭にも恩恵が回ります。最終的には日本の経済が潤うことにつながるのです。更に日本企業の海外流失にも歯止めがかかることも経済にとっては欠かすことができません。 法人税減税には反対です。何故なら減税せずとも企業には内部留保と呼ばれる資産があり金額も低くはありません。消費税の増税をしている一方でこれ以上企業を優遇することは誤りだと思います。更に税収が下がってしまうという問題があります。法人税が1%下がると約5000億円の税が減るためどこかでヘッジしないとなりません。一番手っ取り早いのが所得税の増税、酒税、たばこ税など個人から摂取する方法です。もっと進んでしまうと消費税の更なる増税も現実味を帯びてきてしまい我々生活者を脅かす存在になってしまいます。
法人税減税によって良いところは、企業の活動が活発になるということです。これまで税金として払っていた部分を企業活動として利用することができるので、設備投資をしたり、新しい工場を作ったりと生産能力を高めることができます。これによってその企業は、さらに販売力を高めることができるようになるので、企業の拡大につながります。企業が拡大すれば、日本全体の景気も良くなっていくので、良いメリットがたくさんあります。 良くないところは、減税によって得た資金を企業が内部にため込んでしまうということです。企業が投資として利用しなければ、経済が活発になる事はなく、企業がお金をため込んでしまうとその分だけお金の流れが止まってしまうことになります。よって法人税の減税をするのであれば、一定の成果ないしは設備投資などに利用すると言う条件をつけて減税をする必要があります。単なる減税をするだけでは内部留保を増やすだけになります。