メリット デメリット
税制優遇 60歳まで引き出し不可
運用益非課税 手数料がかかる
老後資金の形成 運用リスク
多様な運用商品 限度額が決まっている
受給時の税制優遇 商品選びの難しさ
自己責任で運用 途中解約不可
公的年金へのプラス 運用次第で受取額が減少
掛金の柔軟性 手続きが煩雑
途中で商品変更可能 インフレリスク
将来の安心感 年金制度の変更リスク

iDeCoのメリット

上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。

税制優遇

iDeCo最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象となる点です。これにより、所得税や住民税を大幅に軽減することができます。例えば、年間掛金12万円の場合、所得税10%と住民税10%の人なら年間24,000円の節税効果があります。この控除額は収入が高いほど増加し、特に高所得者層には大きな恩恵があります。節税分をさらに運用に回すことで資産形成が加速します。長期間の運用を考えた場合、この節税効果が複利的に働き、老後資金形成の重要な柱となります。

運用益非課税

iDeCoの運用益は非課税となり、通常の金融商品と比べて有利です。通常、運用益には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは課税されません。たとえば、投資信託で年間10万円の運用益が出た場合、課税口座では約20,000円が税金として引かれますが、iDeCoではその全額を再投資に回せます。これにより複利効果がさらに高まり、長期的な資産成長が期待できます。特に運用期間が長い場合、税制優遇の効果は顕著です。

老後資金の形成

iDeCoは、老後資金を計画的に準備するための強力なツールです。60歳まで引き出せない仕組みは、資産を長期的に運用するための強制力として働きます。この特性は短期的な消費欲求を抑え、計画的な資産形成を可能にします。さらに、税制優遇を活用することで積立額を効率的に増やすことができ、老後の生活資金の柱となります。国民年金や厚生年金の補完としても非常に有効です。

多様な運用商品

iDeCoでは、投資信託、定期預金、保険商品など、さまざまな運用商品を選べます。自分のリスク許容度や運用方針に応じて商品を選択することで、適切なポートフォリオを構築できます。たとえば、リスクを抑えたい場合は定期預金や低リスクの投資信託を選び、リターンを重視する場合は株式投資信託を選べます。この多様性により、初心者から経験豊富な投資家まで幅広い層が利用可能です。

受給時の税制優遇

iDeCoは、受け取る際にも税制優遇が適用されます。一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金形式で受け取る場合は「公的年金等控除」が適用されるため、税負担が軽減されます。一時金と年金形式を組み合わせることで、さらに税負担を最小限に抑えることも可能です。この仕組みにより、長期的に積み立てた資産を効率的に活用できます。

自己責任で運用

iDeCoでは、自分自身で運用商品を選択します。これは資産形成の自由度が高い一方で、自己責任で運用を行う必要があります。しかし、運用の自由度が高いため、自身のライフステージや市場状況に応じてポートフォリオを調整できる点は大きなメリットです。運用の知識や経験を積むことができ、資産運用のスキルを向上させる機会にもなります。

公的年金へのプラス

iDeCoは、国民年金や厚生年金を補完する私的年金としての役割を果たします。公的年金だけでは老後の生活費を賄いきれない可能性があるため、iDeCoを活用して不足分を補うことができます。特に、自営業者やフリーランスなど、厚生年金がない人にとっては貴重な老後資金準備の手段です。

掛金の柔軟性

iDeCoでは、掛金の金額を柔軟に変更できます。月額最低5,000円から始められ、最大掛金は職業や加入状況によって異なりますが、状況に応じて増減可能です。収入が多い時期に多めに拠出し、収入が減少した時期に控えるなど、生活状況に合わせた調整ができるため、計画的な資産形成が可能です。

途中で商品変更可能

運用商品を途中で変更できる点も魅力です。例えば、市場の状況やリスク許容度が変化した場合、定期預金から投資信託に移行するなどの対応が可能です。これにより、経済状況や自身のライフステージに応じた柔軟な運用が可能になり、リスクを適切に管理できます。

将来の安心感

定期的な積立と長期運用により、老後資金を効率的に準備できます。この仕組みによって、将来の資金不足への不安を軽減し、安心感を得ることができます。また、税制優遇や運用益非課税の恩恵を受けることで、より効率的に資産を増やすことが可能です。老後の経済的な自由を手に入れるための有力な手段となります。

iDeCoのデメリット

上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。

60歳まで引き出し不可

iDeCoの資金は、原則として60歳になるまで引き出すことができません。この制約は、老後資金形成を目的とした制度設計の一環ですが、急な出費が必要な場合に対応できないというデメリットがあります。たとえば、病気や失業などで一時的に生活費が不足しても、iDeCoの積立金を使うことはできません。そのため、iDeCoを利用する際は、生活防衛資金や緊急資金を別途確保しておく必要があります。

手数料がかかる

iDeCoには加入時、運用中、受取時に手数料が発生します。加入時の手数料は2,829円程度、運用中は毎月171円から600円程度が必要です。また、受取時にも振込手数料や税金がかかる場合があります。手数料は長期的な資産形成の中で大きな影響を与える可能性があるため、事前に確認し、運用利益でこれを上回る成果を得る必要があります。

運用リスク

iDeCoで選択できる運用商品には元本保証型と投資型がありますが、特に投資型の商品では元本割れのリスクがあります。たとえば、株式市場の暴落や経済の低迷が続くと、資産が大幅に減少する可能性があります。このため、商品選びには慎重さが求められ、自分のリスク許容度や運用目標をしっかりと見極める必要があります。

限度額が決まっている

iDeCoの掛金には、職業や加入状況に応じて上限が設定されています。たとえば、自営業者の場合は月額68,000円が上限である一方、会社員は企業年金の有無により12,000円から23,000円の範囲で変動します。この制約により、資産形成のスピードに限界が生じる可能性があります。他の資産運用方法と併用する必要がある場合もあります。

商品選びの難しさ

iDeCoでは多様な運用商品が提供されますが、初心者にとってはどの商品を選ぶべきか判断が難しい場合があります。たとえば、株式投資信託を選ぶ場合、国内株式、海外株式、バランス型など選択肢が多いため、知識不足だと適切なポートフォリオを構築できない可能性があります。また、手数料の高い商品を選んでしまうと、利益が圧迫されるリスクもあります。

途中解約不可

iDeCoは原則として途中解約ができない仕組みとなっています。これは老後資金を確実に積み立てるための設計ですが、緊急の資金需要が発生した場合に対応できないデメリットとなります。たとえば、住宅購入や教育費などの大きな出費に備えたい場合、iDeCoの資金を活用できないため、他の金融商品とのバランスを考慮する必要があります。

運用次第で受取額が減少

iDeCoでは運用成績次第で受取額が変動します。特に投資信託などのリスク資産を選んだ場合、市場環境によっては元本割れの可能性もあります。老後に受け取れる金額が期待値を下回ると、計画していた生活設計に支障が出る可能性があります。そのため、リスクとリターンをしっかりと理解し、長期的な視点で運用する必要があります。

手続きが煩雑

iDeCoへの加入や変更手続きは、他の金融商品に比べて複雑です。たとえば、職業や企業年金の有無によって提出書類が異なり、正確な情報を提供しないと手続きがスムーズに進まない場合があります。また、金融機関や国民年金基金連合会とのやり取りが必要な場合があり、手間がかかります。これが加入や運用のハードルとなる場合があります。

インフレリスク

長期間にわたって資産を積み立てるiDeCoでは、インフレによる資産価値の目減りが懸念されます。たとえば、現在の100万円が20年後には購買力として80万円程度になる可能性があります。元本保証型の商品を選んだ場合、このリスクはさらに顕著になります。インフレリスクを回避するためには、ある程度のリスクを取って成長性のある資産に投資する必要があります。

年金制度の変更リスク

iDeCoは公的年金制度の補完として位置づけられていますが、将来的に制度や税制が変更される可能性があります。たとえば、掛金の上限が引き下げられる、税制優遇が縮小されるなどのリスクが存在します。このような制度変更は長期的な資産形成計画に影響を与える可能性があるため、リスク分散の観点から他の資産形成手段と併用することが推奨されます。

みんなの意見

賛成意見 反対意見
今の時代、老後の生活について考えた際に年金だけに頼るのが心配ですが、イデコをうまく活用したら、お得に積み立てをすることが出来るので安心できる点が良いと思います。また、通常の貯蓄とは違い、年末調整や確定申告を行うと所得税と住民税が軽くなる点と、イデコの運用をして得た利益に税金がかからないのも大きいメリットだと思います。また、手ごろな金額(月額5,000円)から始められて、無理なく積み立てる事が出来るのも良い点だと思います。 運用次第で元本を大きく下回ってしまうおそれがあるのが、良くないと思います。素人にとってはどの対象に投資したらよいかの判断もかなり難しいと思います。また、元本を下回るおそれがあるにもかかわらず、口座を開設したり、維持したりするのに手数料がかかってしまうことにもなかなか納得できません。さらに、途中で解約することも原則として認められていませんので、60歳になるまでは塩漬けになってしまうのも、とても残念なことだと思います。
毎月、少額のお金で将来の老後資金に向けた準備ができるのは、誰もが手軽に始めやすく良い点だと思います。また、他の投資商品だと、運用中に獲得した利益に対して、20%程の税金がかかり、実際に手元に入るお金は、利益の80%程になってしまいますが、iDeCoの場合だと、運用中に獲得した利益は非課税対象なので、利益額が大きければより手元に入る金額も大きくなるのは、同じ投資商品でも異なった特徴であり、最大のメリットだと感じています。 60歳まで取り出せないことです。まだ子供が小さいのでこれから教育費がかかる、マイホームを購入する時に頭金として使いたい、といった理由で解約することができません。若い世代でiDeCoを始めている人は、上記のような理由でお金が必要になる時が出てくるでしょう。そのような時に自由に使えず、長期間積み立てた資産にロックがかかってしまうことはデメリットだと思います。逆にすぐ貯金をおろしてしまいがちな人にとっては、解約できないシステムがメリットになりえます。
運用がうまくいけば、元本を大きく上回る可能性があるのが、夢を持たせてくれて良い点だと思います。毎月5,000円とわりと低めの掛け金から始められるのも、資産に余裕がない人にとっては、うれしい点だと思います。また、掛け金が全て所得控除されて税金が戻ってくるのも、お得な感じがします。運用中の利益に税金がかからず利益がそのまま手にできるのも賛成する理由の1つです。運用した資産を受け取る時にも税金の優遇が受けられますので、そこもとても惹かれるポイントだと思います。 掛け金はどんなことがあっても60歳までは引き降ろせないことです。iDeCoは自分年金のようなものでありリタイヤする年齢は人それぞれなので、引き降ろす時期を選べてもよいのになと思います。特に主人は57歳で早期退職すると言っているので、そこから年金がもらえる65歳までの8年間あります。57歳の退職の時にiDeCoも解約できたらいいのになと思います。制度上のことなので仕方がありませんが、少し様々な規定が多いような気がします。
やはり一番は税金対策になることです。うちは主人が企業年金のある会社に勤めているため、年の掛け金は上限が24万円になります。この24万円が全額所得控除され、主人の税率が20%なのでざっと計算すると4万8千円の節税になります。iDeCoの利益よりもとりあえずこの控除を目当てに加入しました。主人はあと15年くらいは企業で働くことになるので、15年で計算すると72万円の戻りになります。そのためiDeCoの商品選択はリスクのない元金保証にものにしているため、利率の良い定期預金のような感覚でいます。税率の高い人ほど加入しておくと良いと思います。 60歳にならないと、積み立てたお金を引き出すことが出来な点は不便で、始めるには覚悟が必要だと思います。また、口座開設と維持に手数料がかかってしまうので、特に長期で積み立てる場合には結構な金額を手数料として支払うことになるのは良くない点だと思います。それから自分で投資信託を運用することが必要となるので、知識がない人の場合は躊躇したり、不安な事もあると思います。それと海外に住んでいる場合には利用できないのも不便だと思います。
iDeCoの良い点は、非課税の枠が大きいことです。老後資金の不足を自己責任で補う為に始まったiDeCoは、引き出すときに退職控除を利用できる点は魅力です。人によっては数十年投資を続ける人もいますので、利益は大きくなっている人も多いでしょう。その利益を税金でかなりの額を取られてしまっては意味がありません。そういう点で、iDeCoの非課税になるシステムはとても良い点だと思いました。私も今後も利用し続けていきたいと思います。 自身が積み立てたお金を60歳になるまでは、決して引き出すことができないのは、お金の使い道が限られてしまうため、マイナス面だと思います。途中で何か別のことに大金を使う必要が出てきた際には、積み立てたお金があればなと後悔することも出てくるかと思いますので、そうした満期までの途中解約不可という条件が付いて回るのは、柔軟性に乏しく、マイナス要素だと思います。また、新規口座を開設する際や口座を持っておくこと自体にも手数料が発生するので、そうした側面も良くないと感じています。