メリット デメリット
収入の上限がない 初期費用がかかる
自由な働き方 運営費用が増える
やりたいことを実現できる 責任の重さ
税制上の優遇措置 収入の不安定さ
信頼性の向上 手続きの複雑さ
事業のスケールアップが可能 社会保険料の負担
有限責任 倒産リスク
資金調達の選択肢が広がる 資金繰りのプレッシャー
社会的影響力の拡大 プライベートの時間が減る
後継者への事業引継ぎが容易 経営スキルが求められる

会社設立のメリット

上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。

収入の上限がない

起業すると、会社の売上や利益が増えれば増えるほど、個人の収入も比例して増加する可能性があります。会社員のように給与が固定されるわけではなく、努力やアイデア次第で大きな収益を得ることができます。特に、成功した製品やサービスが市場で評価されると、売上が急激に伸びることもあります。また、起業家は事業収益を元手にさらなる投資や新規事業の立ち上げも可能です。一方、収入の上限がないことはリスクを伴いますが、成功を手にしたときのリターンの大きさは、雇用者としての仕事では得られないものです。

自由な働き方

起業家は、働く場所や時間、そしてどのような業務を行うかを自分で決めることができます。リモートワークを取り入れたり、自分のライフスタイルに合わせたスケジュールを組むことが可能です。例えば、週4日働いて残りの時間を自己研鑽や家族との時間に充てることもできます。従業員や取引先との調整は必要ですが、全体的なスケジュールの裁量権は経営者にあります。この自由さが起業の魅力であり、自分らしい働き方を追求できる原動力となります。

やりたいことを実現できる

会社を設立することで、自分が情熱を注げる分野で事業を展開できるようになります。好きなことを仕事にすることで、モチベーションが維持しやすく、長期的な目標にも取り組みやすくなります。また、自分のビジョンや価値観を反映させた製品やサービスを作ることで、社会に新しい価値を提供する機会を得られます。特に、自分が解決したい社会問題やニッチ市場に特化することで、他社との差別化を図ることが可能です。

税制上の優遇措置

法人にはさまざまな税制上の優遇措置があります。例えば、法人税率は個人の高額所得者に適用される所得税率よりも低い場合が多く、適切な経費計上や節税策を講じることで、税負担を軽減できます。また、法人では交際費や会議費、車両費なども経費として計上できる範囲が広がります。さらに、退職金や保険の掛け金も節税効果が期待できるため、資金管理において柔軟性を持つことができます。

信頼性の向上

法人化することで、取引先や金融機関からの信頼を得やすくなります。個人事業主に比べて、株式会社や合同会社といった法人形態は、事業の安定性や継続性を感じさせるため、契約や融資の際に有利です。法人名義で銀行口座を開設することで、取引先にプロフェッショナルな印象を与えることも可能です。これにより、大規模な取引やプロジェクトに参加しやすくなるメリットがあります。

事業のスケールアップが可能

法人化すると、株式の発行や投資家からの資金調達が容易になります。この資金を活用して人材を雇用したり、設備を拡充したりすることで、事業の規模を効率的に拡大できます。また、組織としての運営が可能になるため、複数の事業を並行して展開することも視野に入れられます。個人の限界を超えて、大きなビジョンを持った事業運営が可能になるのは法人化の大きな利点です。

有限責任

株式会社の場合、経営者の個人資産と法人の資産は分けて管理されます。そのため、万が一会社が倒産しても、個人としての財産が差し押さえられるリスクを回避できます。この有限責任の仕組みは、事業のリスクを最小化するための重要なセーフティーネットです。ただし、個人保証を求められる場合もあるため、契約内容には注意が必要です。

資金調達の選択肢が広がる

法人化することで、銀行融資、ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家、クラウドファンディングなど、多岐にわたる資金調達方法が利用可能になります。特に、事業計画書や収益モデルを明確に提示することで、外部からの資金提供を受けやすくなります。また、会社の信用力が高まることで、より有利な条件で融資を受けられる可能性も広がります。

社会的影響力の拡大

法人として活動することで、事業を通じて地域や社会にポジティブな影響を与える機会が増えます。例えば、地元の雇用を創出したり、社会貢献活動を行うことで、社会的な評価やブランド価値を向上させることができます。また、事業を通じて解決したい課題や、提供する価値を明確にすることで、多くの人々に影響を与える可能性があります。

後継者への事業引継ぎが容易

法人化している場合、事業を後継者にスムーズに引き継ぐことができます。株式の譲渡や事業承継計画を通じて、次世代への移行を円滑に行うことが可能です。これにより、事業の継続性を保ちやすくなり、築き上げたブランドや顧客基盤を次世代に活かすことができます。また、法的な仕組みが整っているため、相続税対策としても有効です。

会社設立のデメリット

上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。

初期費用がかかる

会社を設立する際には、登記費用や公証人役場での定款認証費用などが必要です。日本では株式会社を設立する場合、約20万円から30万円の費用が一般的です。さらに、事務所を借りる場合には保証金や家賃、オフィス家具や機器の購入費用もかかります。また、ウェブサイトの構築や名刺の作成など、ビジネスを始めるための準備費用も見逃せません。これらの初期投資は、起業する際の大きな負担となる可能性があります。

運営費用が増える

会社運営には固定的なコストが発生します。例えば、税務申告や会計処理のために税理士や会計士を雇う必要があり、その費用が毎年の出費となります。また、社会保険料や事業用保険なども支払う必要があります。さらに、取引先とのやり取りや従業員の管理など、運営に関わる事務作業の増加によって、間接的なコストがかかることもあります。

責任の重さ

会社設立後は、経営者として従業員や取引先、顧客に対して法的および道義的責任を負うことになります。従業員がいる場合、給与の支払いが滞ることは許されず、取引先との契約違反は信頼を損なう大きな問題に繋がります。また、事業の不振や失敗によって従業員や取引先に影響を及ぼす場合には、経営者としてその責任を問われることもあります。

収入の不安定さ

起業後しばらくは、収益が安定しないことが一般的です。特に、起業初期は顧客基盤が整っておらず、売上が不規則になりがちです。固定費の支払いがある一方で、収入が予測できない状況が続くと、資金繰りに大きなストレスを抱えることになります。このような状況が長期化すると、事業の継続自体が危ぶまれる可能性もあります。

手続きの複雑さ

会社設立には、法務局への登記申請や定款の作成、資本金の払い込みなど、多くの手続きが必要です。また、設立後も税務署や市区町村への届出、社会保険の加入手続きなど、多岐にわたる手続きが求められます。これらの手続きを正確に進めるためには、専門知識が必要となる場合が多く、時間と労力がかかります。

社会保険料の負担

法人の場合、従業員の社会保険料の半分を会社が負担する必要があります。また、経営者自身も社会保険に加入する必要があり、これが固定費として毎月発生します。従業員数が増えると、この負担も比例して大きくなり、事業の収益を圧迫する要因となります。特に、起業初期で収益が安定していない場合には、これが大きな経営課題となる可能性があります。

倒産リスク

事業がうまくいかない場合、最悪のシナリオとして倒産の可能性があります。倒産することで、従業員や取引先に多大な影響を与えるだけでなく、自己資金や保証人としての負担を求められる場合もあります。また、倒産の際には負債の処理や法的な対応が必要となり、大きなストレスと時間がかかります。

資金繰りのプレッシャー

会社運営では、日々の資金繰りが重要な課題となります。特に、売掛金の回収が遅れたり、予期しない支出が発生した場合には、資金不足に陥るリスクがあります。これを防ぐためには、綿密な資金計画を立てるとともに、銀行との良好な関係を築くことが求められます。それでも、資金不足が続けば、事業継続が困難になる可能性があります。

プライベートの時間が減る

起業直後は、事業を軌道に乗せるために多くの時間とエネルギーを費やす必要があります。特に、初期の段階では、自分自身で多くの業務をこなさなければならず、結果としてプライベートの時間が大幅に削られることがあります。この状況が続くと、家族や友人との関係が希薄になったり、心身の健康を損なうリスクも高まります。

経営スキルが求められる

起業家には、製品やサービスを開発するだけでなく、財務管理、マーケティング、営業、人事、法務など、幅広いスキルが求められます。これらのスキルを短期間で身につけることは難しく、専門家の助けを借りる必要がある場合も多いです。スキル不足が原因で適切な経営判断ができないと、事業の成功が遠のくリスクが高まります。

みんなの意見

賛成意見 反対意見
一人の社員として会社に属していると、重要な役割を担っていても本当の意味での達成感を得ることはかなり難しいと思います。

しかし会社を設立し経営するということは、全てが自分次第であり、なにかが成功したときの喜びは一社員の時とは比べ物にならないものだと思います。全体の一部ではなく、全体が自分自身であるのですから。

よく「自分がやりたいことを本当にやりたいなら、会社を起こせ。」と耳にします。やりたいことを自分自身の力で勝ち取ることができることが最大の喜びであり、最大の苦労であると思います。
良くないというよりも、会社を設立するのであれば、大きな責任と代償がつきものだという事です。一人で始めるにしても、社員を抱えるにしても、そこには必ず相当な覚悟が必要です。

私の友人も軽い気持ちでネット会社を設立しましたが、半年ほどで経営が行き詰まり、倒産することに。大きな借金を抱えただけでなく、その会社に関わった多くの方々に多大な迷惑をかけることになってしまいました。

ネットの普及により、多くの若者が一攫千金を夢みて、会社を起こしていますが、生き残っているのはほんの一握りだということを忘れてはいけないと思います。
会社を持つことによるメリットは多くあります。例えば、体面がよくなる、親に心配をかけないで済む、保育園に入りやすくなる、節税できる、取引や商売を行う相手や場が広がる、といった点が、良い点として挙げられます。

会社設立の効果はビジネス面でのみ語られることも多いですが、このように、子どもの保育関係や学校、身内など、多方面で信用を得られる場合が多いのです。現在は手続きが簡単なことも、会社設立に賛成な大きな理由です。
会社設立に反対な理由は、個人事業主でもできることであれば、その方がずっとプレッシャーが少なくてすむ、ということです。

業績がのびて従業員を雇わなければならないといったことがない限りは、個人事業主のままの方が、経理の把握もしやすいです。

銀行や公庫にも個人事業主向けの融資がありますし、法人としか取引をしないといった企業も減ってきています。

なにより個人事業主であれば仕事をやめたとしても周りに影響は少ないですが、会社であれば廃業や倒産といったマイナスイメージが必ずつきます。
前提として、おもに個人事業からの株式会社への法人成りという点からの意見です。基本的には、社会的な信頼・信用が大きなメリットだと思います。

実際は別として、『大きな事業に発展できないような小さな事業だ』と思われてしまう誤解から解放されて、株式会社(法人)というだけで、事業規模を拡大する(または、その可能性)ことができます。

ネットショッピングモールへの参入が法人格を持っていることが最低条件とか、大企業などとの取引条件が法人でないといけないだとか、煩わしいことから解放されます。それだけでも充分にメリットがあります。

また、法的な意味で、一人分の別人格を持てるということですので、役員報酬を会社の経費として計上できます。

その他、資本金が1000万未満ならはじめの2期分の消費税が払わないで済む、減価償却費の計上が任意など、個人事業では認められなかった税制上のメリットがたくさんあるところが良いところだと思います。
会社設立以前には、まったく感じなかった事務的な事柄が山のようにたくさん出てきます。

私の知り合いは、株式会社設立して1年目にも事業年度末日の提出期限から4ヶ月たって、“まだ決算報告書を提出していない”と大慌てでした。

専任で税理士がついていましたが、何もしないままになっていたそうで、お上から『脱税では?』との指摘があったようです…。

基本は何でもそうですが、帳簿は厳密に期限までより高度な会計処理を必要とされます。

また、会社として、決算広告や社会保険(厚生年金や健康保険など)の加入義務や手続き、赤字であっても法人住民税(所得割分は免除されても、均等割分は支払いが義務)など、事業そのものとは別に人材を確保する必要があります。
会社を設立して良いと思う点を上げます。

まずはじめは、ステータスです。「会社を設立した。」とか「会社の社長です。」って言うと、かっこよくてなんだか自分のステータスが上がった気がします。

これと同じような感じで、信用度が上がるので、取引が有利に運べたり、融資を多く受けられたりします。

次は、税制です。特に経費ですね。かなりの額を経費で自動的に落とせるので、その分税金を安くすることができます。他には、実務上の取引です。

個人では取引できなかったり、そっぽ向かれていた顧客も、法人になったら取引できるようになったりします。
会社設立の悪い点を上げます。会社を設立するのに、手間と費用がとてもかかります。会社を設立しても、毎年、地方税などの維持費がかかります。

更に、各種保険への加入が必要となってきます。社会保険料も負担しなければなりません。他に、交際費も90%までしか経費になりません。

また、税金の申告が複雑になり、会計は複式簿記で記帳しなければなりません。会計士や税理士も雇わなければならなくなります。会社を止める時も費用がかかり、手間もかかります。