LCCのメリット
上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。
航空券が安い
LCC最大の魅力は、何といってもその「安さ」にあります。大手航空会社に比べて基本運賃が非常に低く設定されており、同じ区間でも半額以下になることもしばしばあります。これは、機内サービスの簡略化、機材の共通化、人件費の抑制など、徹底したコスト削減努力の結果です。出張や旅行の費用を抑えたい人にとって、LCCの安さは非常に大きなメリットとなります。また、早期予約やセール時には、数百円から数千円で航空券が購入できることもあり、日常的に飛行機を利用することのハードルを大きく下げてくれます。
多頻度運航で予約しやすい
LCCは需要の高い路線に対して高頻度で便を運航する傾向があり、選択肢が豊富です。例えば、成田~関西や福岡~那覇などの人気区間では、朝から夜まで複数の便が運航されているため、出発時間を自分の都合に合わせやすくなります。ビジネス利用者にとっては、予定の変更にも柔軟に対応でき、プライベート旅行者には行動計画の自由度が高まります。また、早朝や深夜便など時間帯の選択肢も多く、空港の混雑を避けられるケースもあるため、効率的な移動が可能になります。
シンプルなサービスで効率的
LCCでは「必要なサービスを必要な分だけ支払う」という考え方が徹底されています。機内食やドリンク、座席指定、手荷物預けなどはオプション扱いとなっており、自分のニーズに合わせて追加すればよい仕組みです。これにより、サービスの過剰供給がなくなり、効率的な運航が実現されます。例えば、短時間のフライトであれば飲食サービスは不要という利用者にとって、無駄なコストを払うことなく、安く移動できます。自由度とコスト管理の両方を実現する合理的な仕組みと言えるでしょう。
新しい空港・地方空港を活用
LCCは大都市の主要空港だけでなく、地方都市の空港や副次的な空港も積極的に活用しています。これにより、これまでアクセスが難しかった地域への直行便が可能になり、地方観光やビジネスに大きな利便性をもたらしています。たとえば、関西圏では関西空港、関東圏では成田や茨城空港といったLCC向けの空港が活躍しており、利用者は首都圏に限らず全国各地から安く移動できるようになっています。結果として、地方経済の活性化や観光客の分散化にも貢献しています。
オンライン手続きでスムーズ
LCCの多くはウェブサイトやアプリを通じて予約・チェックイン・座席指定などの手続きを完結させるシステムを採用しています。これにより、空港での手続き時間を大幅に短縮でき、カウンターに並ぶ必要も最小限に抑えられます。また、手数料が安く済む場合も多く、ユーザーにとっては利便性と経済性を兼ね備えた仕組みとなっています。特に海外のLCCでは、モバイル搭乗券の利用も進んでおり、スマートフォンひとつで移動が完結する点も、忙しい現代人にとっては大きな魅力となっています。
キャンペーンやセールが多い
LCCは積極的に期間限定の割引キャンペーンやセールを展開しており、通常運賃でも安い航空券がさらにお得に購入できる機会が頻繁にあります。特に季節ごとのイベント(夏休み、年末年始、GWなど)に合わせたキャンペーンは注目され、例えば「片道1000円セール」などの目玉企画もあります。このようなセール情報はメールマガジンやSNSを通じて配信され、ユーザーが定期的にチェックすることで旅費を大きく節約できるようになります。賢く利用すれば旅行の頻度を増やすことも可能です。
短距離旅行に最適
LCCは主に2〜4時間以内の短中距離フライトに特化しているため、機内サービスが簡素であっても大きな不便を感じにくいという利点があります。食事がなくても問題になりにくく、座席の狭さも耐えられる範囲に収まるケースが多いです。また、短距離移動に適した価格帯とスケジュールで提供されているため、国内旅行や近隣諸国への渡航には非常にマッチしています。従来なら新幹線を利用していた区間でも、時間や費用の面からLCCが有力な代替手段となり得るのです。
旅行のハードルが下がる
LCCの登場により、かつては「年に1〜2回の贅沢」と考えられていた飛行機旅行が、より身近で日常的なものへと変化しました。安価な運賃のおかげで、学生や家族連れ、シニア層でも気軽に空の旅が楽しめるようになり、週末だけの小旅行や思いつきの遠出も可能になります。特に、航空券がセールで数千円程度になれば、他の交通手段と比較してもコスト的な優位性が明確になります。結果として、観光業の裾野が広がり、国内外の移動の自由度が飛躍的に高まりました。
新規就航路線が多い
LCCは需要を開拓する目的で、他社が就航していない地域や空港への路線展開に積極的です。その結果、今まで直行便がなかった都市同士が結ばれ、新しい移動ルートが創出されています。これにより、利便性が向上するだけでなく、観光やビジネスの新たなチャンスも生まれています。また、新規路線では開設記念セールなども行われることが多く、利用者にとってもお得に旅ができる絶好の機会になります。こうした動きが地域の活性化にも貢献しているのです。
コストパフォーマンスが高い
LCCは、安さだけでなく、そのコストパフォーマンス(費用対効果)の高さも大きな魅力です。運賃が安価であっても、安全運航は確保されており、基本的な移動のニーズはしっかりと満たされます。不要なサービスを省いた分だけ、利用者自身が自由に選択しながらコストを最適化できるため、「必要十分なサービスを適正価格で受けられる」という合理性が評価されています。限られた予算内で最大限の価値を引き出す選択肢として、多くの人に選ばれているのです。
LCCのデメリット
上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。
サービスが有料オプション
LCCでは、従来の航空会社で無料提供されている多くのサービスが有料となっています。例えば、機内での飲食物の提供、座席指定、預け荷物、ブランケットの貸出などがその対象です。これらは一律に料金がかかるため、少しずつ追加していくうちに、最初に見た格安運賃より高くなってしまうことも珍しくありません。特に海外旅行など長距離移動や荷物が多い旅行では、この有料サービスの積み重ねが大きな負担になる場合もあります。価格面だけで選ぶと、かえって割高になる可能性がある点には注意が必要です。
座席が狭く快適性に欠ける
LCCはコスト削減と収益性の最大化のため、1機あたりの座席数をできるだけ多く設定する設計が主流です。その結果、座席の幅や前後のピッチ(足元のスペース)は大手航空会社に比べて狭く、体の大きな人や長時間座り続ける人にとっては大きなストレスになります。特に身長が高い人にとっては足が伸ばせず、窮屈さを感じることが多いです。また、リクライニングがないか、ごく浅くしか倒れないシートもあり、快適性の点では大きな差があります。短距離なら我慢できますが、長距離では苦痛に感じることもあるでしょう。
欠航・遅延時の対応が弱い
LCCはコスト削減の一環として保有機材を最小限にとどめており、1機のトラブルや天候不良による遅延・欠航の際に代替便を用意する余力が限られています。そのため、フライトの遅延や欠航が発生した場合、他社便への振替や宿泊の提供、食事券の配布といった大手航空会社のような手厚い対応は受けられないことが多いです。最悪の場合、自分で新たに別便を予約し直さなければならず、費用や時間のロスが生じます。スケジュールに余裕がない人にとっては、大きなリスク要因となります。
受託手荷物に制限が多い
LCCでは受託手荷物の規定が非常に厳格です。例えば、預けられる荷物の重量は15kgや20kgまでに制限されており、超過すると1kg単位で高額な超過料金が発生します。また、機内持ち込み手荷物についてもサイズ・重量に細かな制限があり、規定を超えると追加料金を請求されることがあります。旅行に慣れていない人や荷物の多い家族旅行では、思わぬコスト増になる可能性があるため注意が必要です。荷物の準備段階で、しっかりと事前確認を行うことが求められます。
地方空港発着が多い
LCCは空港使用料を抑えるために、アクセスの悪い郊外の地方空港や副次的な空港を拠点とすることが多くあります。例えば、成田空港や茨城空港、大阪の関空第2ターミナルなどが代表例です。これらの空港は市街地から離れているため、空港までの移動に時間と交通費がかかることがあります。また、公共交通機関の本数が少ない地域では、時間帯によっては移動が困難になることも。トータルで見ると、航空券は安くても移動全体のコストや利便性で劣る可能性があります。
座席指定が有料
LCCでは、好きな座席を選ぶ場合には追加料金が必要になります。例えば、通路側や窓側、前方の座席、または足元が広い非常口付近の座席などは特に高めに設定されています。家族や友人と隣同士に座りたい場合も、事前に座席指定料を払わなければ、離れ離れになる可能性があります。また、安い運賃で予約すると、座席指定なしだと自動的にランダムに割り当てられるため、混雑時は中央席になることも多いです。快適に過ごすためには、結果的に追加コストがかかる点が悩ましい部分です。
チェックイン締切が早い
LCCは搭乗手続きや機材の回転効率を重視しており、チェックインの締切時間が大手航空会社より早めに設定されていることが一般的です。例えば、出発の1時間前に空港に到着しても、受付終了後で搭乗できなかったというケースも少なくありません。特に受託手荷物を預ける場合は、さらに早めに来る必要があります。また、オンラインチェックインをしていても、荷物検査や搭乗ゲート通過に時間がかかるため、空港には余裕を持って到着する必要があります。慣れていないと焦ってしまう場面が多くなるでしょう。
予約後の変更・払い戻しが困難
LCCの航空券は、原則として「変更不可・返金不可」の条件で販売されることが多いです。一度予約すると、日付や時間の変更には高額な手数料がかかるか、そもそも変更できないケースもあります。急な予定変更や体調不良など、やむを得ない事情が発生しても、キャンセル料が100%で返金ゼロということも珍しくありません。そのため、スケジュールが不確定な状況ではリスクが大きく、利用をためらう要因となります。利用者には、予約時に慎重な計画と確認が求められます。
マイレージ制度がないか限定的
多くのLCCでは、大手航空会社のようなマイレージプログラムやポイント制度を提供していないか、提供していても非常に限定的です。たとえば、ポイントの加算率が低かったり、使える場面が限られていたりと、継続利用によるメリットが少ないのが実情です。そのため、頻繁に飛行機を利用するビジネスパーソンやマイルを貯めて特典航空券を利用したい層にとっては、LCCはあまり魅力的な選択肢とは言えません。リピーターとしてのメリットが薄いことは、長期的な利用におけるネックとなります。
混雑・乗客マナーが悪いケースも
LCCの安さは多様な層に開放される利点もありますが、逆に公共マナーや旅行慣れに差のある乗客が増えることで、機内の雰囲気や快適性が損なわれることもあります。例えば、荷物の取り合いや通路での混雑、座席リクライニングのトラブル、大声での会話などが問題になることもあります。また、航空会社側もコスト優先のため、乗客トラブルへの対応が限定的になる傾向があります。結果として、快適性や安心感を重視する人には不向きと感じられることがあります。