メリット デメリット
社会的信用の向上 設立手続きが複雑
税制優遇 資金調達の課題
助成金や補助金の獲得が可能 行政への報告義務
契約の主体になれる 活動範囲の制限
活動資金の安定化 人材確保の難しさ
法人名義での財産管理 競争の激化
社会貢献の明確化 責任の分散による意思決定の遅れ
メンバーの責任が限定的 長期的な運営が困難
広報活動が容易 透明性の確保が求められる
ネットワークの構築 経営スキルの必要性

NPO法人のメリット

上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。

社会的信用の向上

NPO法人として活動することで、団体の社会的信用度が大きく向上します。法人格を持つことで、団体が法律的に認められた存在であることが明確になり、取引先や協力者、寄付者に安心感を与えます。また、法人格を取得すると、団体の目的や活動内容が公的に認証されたものとして社会に示されるため、透明性が高まります。これにより、企業や行政との連携がスムーズになり、地域社会や関係者からの信頼が深まることで、活動の幅が広がる効果も期待できます。

税制優遇

NPO法人の中には、税制上の優遇措置を受けられるものがあります。具体的には、一定の条件を満たすことで「認定NPO法人」として認定され、寄付を行った個人や法人が税額控除を受けることが可能になります。これにより、寄付者の負担が軽減され、団体への寄付を促進する効果があります。また、法人税率の軽減や一部の非課税措置も適用される場合があり、資金運営が効率的に進むようになります。こうした仕組みは、NPO法人の経済的基盤を強化する大きなメリットです。

助成金や補助金の獲得が可能

NPO法人は、公益性のある活動を行う団体として、政府や自治体、民間の財団などから助成金や補助金を受けることが可能です。特に法人格を持つことで、助成金申請時の信頼性が高まり、採択される可能性が上がります。助成金は、活動資金やプロジェクトの拡大、新規事業の立ち上げに活用でき、団体の成長を後押しします。ただし、助成金は目的が限定される場合が多いため、適切な用途で活用することが求められます。

契約の主体になれる

NPO法人として法人格を持つことで、団体自身が契約の主体となることが可能です。これにより、団体名義での契約ができるようになり、賃貸借契約や物品購入契約、雇用契約などが個人名義で行われるケースよりも信頼性が向上します。また、法人として契約を結ぶことで、メンバー個人への責任が集中するリスクを軽減でき、団体全体としての安定した運営が可能になります。

活動資金の安定化

NPO法人は、会費、寄付金、助成金など、複数の資金源を確保しやすい立場にあります。特に法人格を持つことで寄付者に対する信頼感が高まり、個人や企業からの支援が得やすくなります。また、事業収益を得ることも可能であり、例えばイベントや講座の開催、有料サービスの提供などで収益を上げることができます。これらの多様な資金調達手段により、安定的な運営が実現しやすくなります。

法人名義での財産管理

NPO法人として法人格を取得すると、団体名義で財産を所有することが可能です。これにより、オフィスの賃貸契約や土地・建物の購入、銀行口座の開設が法人名義で行えるようになります。法人名義の財産管理は、個人名義の場合と比べて透明性が高く、団体の長期的な運営に役立ちます。また、メンバーの入れ替わりがあっても財産が団体に帰属するため、運営の継続性が確保されます。

社会貢献の明確化

NPO法人は、公益性の高い目的を掲げ、社会的課題の解決に向けた活動を行います。この公益性が公に認められることで、団体の社会的意義や役割が明確化され、活動のモチベーションや支援者の共感を得やすくなります。また、社会貢献の成果を報告することで、新たな支援者や協力者を獲得する機会も増えます。こうした公益活動の明確化は、NPO法人の存在意義を高める要素となります。

メンバーの責任が限定的

NPO法人では、団体の活動の責任は法人に帰属するため、個々のメンバーの責任が限定されます。例えば、契約や債務については、法人が主体となるため、メンバー個人が直接的な負担を負うリスクが軽減されます。この仕組みにより、メンバーが安心して活動に参加できる環境が整い、団体の持続可能性が向上します。

広報活動が容易

法人格を持つことで、メディアやSNSなどの広報活動において注目されやすくなります。NPO法人としてのブランド価値が高まるため、イベントやキャンペーンの実施時に信頼性が高まり、支援者や参加者を引き寄せる効果があります。また、社会的意義のある活動を行うことで、メディアから取材を受ける機会も増え、団体の知名度向上につながります。

ネットワークの構築

NPO法人として活動することで、他のNPOや行政機関、企業との連携が進みやすくなります。特に、共通の社会課題に取り組む団体間での情報共有や協力関係の構築が可能です。また、法人格を持つことで交渉や提携が円滑に進み、イベントやプロジェクトの共同実施がしやすくなります。これにより、団体の活動の規模や効果が拡大する可能性が高まります。

NPO法人のデメリット

上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。

設立手続きが複雑

NPO法人を設立するには、多くの手続きと時間が必要です。定款の作成、設立総会の開催、役員の選任など、具体的な設立準備が求められます。また、設立申請書類を作成し、行政機関へ提出する必要があります。これには、団体の目的、活動内容、収支計画など詳細な情報を記載しなければなりません。さらに、行政からの認証を得るまでに時間がかかり、申請内容に不備がある場合は再提出が必要になることもあります。この手続きの複雑さは、設立希望者にとって大きなハードルとなります。

資金調達の課題

NPO法人は営利を目的としないため、安定した収益源を確保するのが難しい場合があります。特に設立当初は、寄付金や助成金の獲得が困難であり、資金不足に陥りやすいです。さらに、寄付者やスポンサーを増やすためには、団体の活動を広く認知させ、信頼を得る必要があります。一方で、助成金や補助金に頼る運営では、資金が特定のプロジェクトに限定されるため、柔軟な活動が制限される場合もあります。

行政への報告義務

NPO法人は、設立後も毎年の事業報告書や財務諸表を行政に提出する義務があります。この報告義務は透明性を確保するために重要ですが、事務作業が増加し、特に小規模な団体にとっては負担となります。また、報告内容の不備や遅延があると行政から指摘を受けることがあり、信頼性の低下につながるリスクもあります。このような手続きが継続的に求められるため、専門的な知識を持つ人材が必要になる場合があります。

活動範囲の制限

NPO法人は公益性のある活動を目的とするため、営利を追求する活動には制限があります。たとえば、収益事業を行う場合でも、その収益は団体の目的に沿った活動に使わなければなりません。このため、自由度の高いビジネスモデルを構築しにくいという課題があります。また、事業の収益性よりも社会貢献を重視するため、資金やリソースの制約が強まり、活動の持続可能性が損なわれる可能性もあります。

人材確保の難しさ

NPO法人では、限られた予算の中で有給スタッフを雇うことが難しい場合が多く、ボランティアに頼らざるを得ないことが一般的です。ボランティアの確保も簡単ではなく、必要なスキルを持つ人材を見つけることが課題となります。また、ボランティアは活動に対する意欲が重要であり、離脱する可能性も高いため、継続的に人材を確保し、モチベーションを維持するための工夫が求められます。

競争の激化

現在、多くのNPO法人や類似団体が活動しているため、寄付金や助成金の獲得、スポンサーシップの確保において激しい競争が生じています。また、活動内容が他の団体と類似している場合、支援者や参加者が分散し、結果として団体の影響力や資金調達力が弱まる可能性があります。この競争環境の中で、団体の独自性をアピールし、差別化を図ることが重要です。

責任の分散による意思決定の遅れ

NPO法人は複数の役員やメンバーによって運営されるため、意思決定に時間がかかることがあります。特に、全員の合意を得る必要がある場合や、意見の対立が起きた場合には、迅速な対応が難しくなることがあります。この遅れは、特に緊急性が求められるプロジェクトや活動において大きな問題となる可能性があります。効果的な意思決定プロセスを構築するための工夫が求められます。

長期的な運営が困難

NPO法人は、資金や人材の制約から、長期的な運営が難しい場合があります。特に、設立当初の活動が成功しても、その後の資金調達や支援者の維持に苦戦することがあります。また、社会や経済状況の変化により、活動の需要が減少する場合もあります。持続可能な運営体制を確立するためには、戦略的な計画と柔軟な対応が求められます。

透明性の確保が求められる

NPO法人は、社会からの信頼を得るために高い透明性が求められます。具体的には、活動内容や財務状況を公開する義務があり、不適切な運営や資金の不正使用が発覚すると、信頼を失うリスクがあります。この透明性の確保には、定期的な監査や詳細な報告書の作成が必要であり、これらの作業が運営の負担となる場合があります。

経営スキルの必要性

NPO法人の運営には、リーダーシップや財務管理、マーケティングなど、ビジネススキルが求められます。これらのスキルを持つ人材がいない場合、効果的な運営が困難になる可能性があります。また、特定の分野で活動する場合でも、法務や会計などの専門知識が必要になることがあり、外部の専門家に依頼する場合には追加のコストが発生することがあります。

みんなの意見

賛成意見 反対意見
NPO法人の社会に対する貢献面の一つに、行政機関では行き届かないサービスを提供する点にあります。

一般社会において公共サービスは行政機関によって提供されていますが、サービスを必要とする人々に対して完全に行き届いているわけではありません。

また、本来必要なサービスであっても、それが実際には行われていない事も多々あります。

こういった社会的に必要とされているにも関わらず、その人々に提供されていないサービスが近年、NPO法人によって補われています。特に高齢化社会が進む日本の福祉の点においては、NPO法人の役割が年々高まりつつあります。

このようにNPO法人が社会サービスの最後の受け皿とも言える存在になっています。
一部のNPO法人においては、それを隠れ蓑にし不正な運用をしている所も残念ながら存在します。一般的にNPO法人は社会のためにサービスを提供するというイメージが強いため、NPO法人自体に対する社会の目は緩い傾向にあります。

それを利用して一部のNPO法人は社会へのサービスという名目において、不正な利益を得たりしているケースもニュースなどにおいて最近目にする機会が増えています。

一部のこのようなNPO法人の行いが全体に対する目も変わってしまうので、残念な事でもあります。
NPO法人は社会にその必要があっても行政が取り組むほどのニュートラルさがなく、かつ採算性を重視する企業ではその機関そのものの持続性が難しいことに関してサービスを提供できる点が良いと思います。

また地域に密着していることが多いのでマイノリティの必要を敏感に察知し対応する小回りが利く点も良いと思います。補助金や寄付などの活動資金援助によって、活動を支える機会が住民にある点も良いと思います。

社会に貢献する法人を様々な面でサポートできる体制があることも良いです。
予算に関連して良い循環を作るのが難しいことが良くないと思います。

企業の努力はその組織を存続させ関わる人間に利益をもたらすことを目指すからこそ続くという面があります。しかしNPOの性質上、採算を度外視しなければ本来の目的を果たせないこともありえます。

また補助金などに頼る部分も大きいので、そこに働く人のモチベーションを保つ要素の一つが欠けることや、周りの理解・援助がなければ機関としての持続性が危ぶまれることも良くない点だと思います。
友人がカンボジア支援のNPO法人をやっていて、私も募金や現地訪問してのヘルプなど一部協力支援をしています。

政府やODAレベルでの支援と違って、実際に困っている現場で草の根レベルでの活動をフットワーク軽く行える点が良い点だと思います。

仕組みを変えていくことが必要であっても、いま現在困っている人たちの救済を行うという観点は、どうしても現場での支援が必要となります。

そうした分野においてNPO法人が活躍する必要があり、多くのNPO法人が多様な支援を行っていることは意味のあることだと思います。
NPO法人も、少し関わっていて聞くのは、ちゃんとしている組織とそうではない組織との差が激しいということです。

NPO法人のなかには、募金をあつめて支援をするふりをしながら、(それなりの支援もしているのでしょうが)代表者は高級車を乗り回すなど非常にリッチな生活をしていたりしているところもあるということです。

法人の設立要件が厳しくないので、NPO法人という名を隠れ蓑にして悪質なことをしている者達に対する処分をちゃんとできない当局側に問題があるように思います。