メリット デメリット
相続税対策になる(暦年贈与) 場合によっては税務署に否認されることがある
年110万円までなら贈与税がかからない 相続時から遡って3年以内の生前贈与は無効
遺産を渡す時期を決めることができる 土地や不動産の贈与には、登録免許税などの別の税金がかかる
生きている内に贈与する相手を選択できる 親族から不満や文句が出る可能性がある
子や孫の教育資金は贈与税がかからない(上限1500万円) 子や孫の教育資金は教育資金非課税申告書の提出が必要
相続時精算課税制度が使える(上限2500万円) 相続時精算課税制度を使った場合、110万円の非課税贈与は使えない
住宅取得資金贈与は贈与税がかからない(上限300~3000万円) 住宅取得資金贈与の適用には所得や年齢などの各種条件をクリアした上で、申告書の提出が必要
高齢者の預貯金が市場に出回り、消費活性に繋がる 国から見た場合、贈与税の税収が落ちる
賛成意見 反対意見
生前贈与が、一定の条件下で子供の住宅資金と孫の教育資金等に行う場合に、贈与税が掛からないと言う制度が導入されました。これは、相続税の一人当たりの額の引き下げ等の強化に合わせて実施されたもので、高齢者が資産を溜め込んでいるのを早期に市場に出すようにする施策として導入されたものです。贈与を受ける側にとっては、お金が本当に必要な時期に、親からの資金援助を受けられるメリットがある点では、良い制度と言えるでしょう。 制度導入の主旨は理解できますが、生前贈与を緩める事で、相続税は大きく減少する形となるはずで、トータルの税収の減少と、持てる人から多くの税金を徴収するという点ではマイナス面も大きい制度と言えます。贈与税は、相続税よりも税率が高く、しかも従来は生前贈与の無税額が少なすぎた事は事実です。しかし、子供の住宅資金や孫の教育資金に限っているとはいえ、一気に無税枠を大きくするのは、少し行き過ぎの様な気がします。無税とせずに、税率を普通の贈与税よりも下げる施策で十分だったのではないかと思います。
医学が発達して高齢化が一般的となっている現在、70歳80歳でも現役の方が増えてきています。もちろん元気でお仕事をされているのは喜ばしいことですが、跡継ぎが何歳になってもトップになれないという場合もあるでしょう。そんな時に生前贈与で次世代に渡せるものを少しずつ贈与できれば、跡継ぎの本人だけでなく、周りも安心すると言えます。引き継ぎをしながら、世間にも誰が跡とりなのかを示せますから「生前贈与」は、税金対策だけでなく必要なものなのです。 いったん生前贈与をしてしまうと、元に戻せないといって良いのではないでしょうか。家族で住んでいる家を息子に名義変更してから、親よりも息子が先に亡くなってしまったなんて話も聞きます。その場合は、息子の嫁や子ども達が遺産相続人となり、親に遺産相続の権利は無くなります。息子の親がまだ生きているなら、嫁が同居しながら義父母の面倒を見なければいけないのか、それとも家を売って義父母と別の生活をするのか・・・難しいですよね。そんな問題を避けるためにも、家や土地など今自分達が生活するために必要なものは、生前贈与するにしても全部ではなくて、一部だけでも親世代が自分達の権利を残しておいた方が良いと思います。
親が生きている間に財産を受け取れると言う事は、親と直接、話し合いが出来たり、親に確認しながら手続きが出来るので、親が死んでしまった後に親族同士が財産分与で揉める事も少なくなると思います。また、生前に財産を処分出来る事によって、高齢のお年寄りの財産管理の負担も減るので良いと思います。それから、生前に財産を分与出来ることによって、親子の関係が良くなり、それが親孝行に繋がる事にもなるのではないか?と思います。 生前に財産を受け取る事が出来たら、その財産を受け取ったら、親の面倒をみなくなる人も居るかもしれません。もし、そうなったら、最後に悲しい思いをしながら亡くなっていくお年寄りも増えるかもしれません。また、亡くなる前に相続の話をすることによって、渡す方としては、嫌なもめごとに巻き込まれる可能性もあると思います。遺言として残し、亡くなった後に相続された場合には、文句のつけようがありませんが、生前の場合は、親族から文句を言われたり、交渉されたりすることになる可能性もあると思います。
相続は、被相続人の死亡という偶然の出来事に付随して行われるものなので、あらかじめ準備しておくことが難しいものです。また、遺言書などをしっかり作っていないと、被相続人の意思を正確に反映させることが難しくなります。この点、生前贈与は被相続人がまだ生存中に行うものなので、十分な準備をして行うことができます。また、被相続人がまだ生きているので、その意思を十分い反映させることができます。これらの点で生前贈与は優れています。 生前贈与は、贈与契約が履行されて時点で終了します。つまり、財産の移動が確定します。これらは被相続人の死亡に備えて行われるものですが、実際に被相続人の死亡する時期については不確定です。贈与契約が終了しても、被相続人の生活は続きます。その間、病気や体調の変化など、不測の事態が生じることも考えられます。それに従って、必要なお金も変わってきますが、だからといって生前贈与をやりなおすということは出来ない点はよくないと考えられます。
生前贈与の良いところは、なくなってからお金や財産のことにおいて揉めることがなくなると言うことです。生きている間にお金の行き先を決めてしまうのは良いことです。またこれによって、遺産にかかる税金を少なくすることができるので、財産を受け取る人、渡す人の双方にメリットがあります。亡くなった人の考えを尊重することができますし、話し合いをすることによって、お金をどのように扱うのか決めて安心してあの世に行くことができます。 贈与の悪いところは、死ぬまでのライフプランが立てにくいと言うことです。亡くなる直前まで、病院などに入院をすれば、お金が必要になります。生前贈与に伴って、その人の持っている資産を全て譲り渡してしまうと、その後急にお金が必要になったときに対応することができなくなります。贈与に関しては税金がかかってくるため、贈与をしてしまっても、渡した人の考えで戻すことができるようにしなければ、ライフプランと同時にマネープランを設計することができなくなってしまいます。
参考サイト
国税庁 Wikipedia