メリット デメリット
運用・管理が一元化できる 送電ロスが発生しやすい
安定供給が可能 災害時のリスクが大きい
大量発電ができる 初期投資が非常に大きい
発電コストが低く抑えられる 地元住民との合意形成が難しい
高度な制御技術が使える 柔軟性に欠ける
広域への送電が可能 地域の自立性が損なわれる
環境対策が集中的にできる トラブル時の影響が広範囲に及ぶ
大都市への供給に向いている 発電所の環境負荷が集中する
法制度や規制に対応しやすい 老朽化によるリスクが高い
停電復旧が迅速に行える 再生可能エネルギーとの相性が悪い

集中型電源のメリット

上の表に出てきた各メリットについてかんたんに解説します。

運用・管理が一元化できる

集中型電源は、発電所など限られた場所で一括して電力を生産し、広範囲に送電する仕組みです。この方式では、設備の点検・保守・管理を一か所で集中的に行えるため、運用が効率的です。複数の分散型電源を管理する場合に比べて、人員やシステムの重複を避けられ、コスト削減にもつながります。さらに、専門技術者が集中して管理できるため、トラブル対応のスピードや質も高まる傾向にあります。

安定供給が可能

大規模な発電施設では、高度な設備と技術によって、常に一定の出力で電力を供給することができます。特に火力・原子力発電などは天候に左右されにくく、ピーク時の需要にも対応しやすいです。これにより、都市部や産業地帯など電力消費の多い地域に安定した供給が可能となり、停電リスクの低減にも貢献します。

大量発電ができる

集中型発電所は、数十万kW〜数百万kW規模の発電が可能なため、大量の電力を一度に生成できます。このスケールメリットにより、発電効率が高く、広範囲への送電にも対応可能です。特に、火力・水力・原子力発電などの大規模施設は、大都市圏の電力需要を支える主力として機能しています。

発電コストが低く抑えられる

大規模発電所では、単位あたりの建設費や運転コストが分散型に比べて低くなりやすく、経済的に有利です。スケールメリットにより、燃料の大量仕入れや高効率な設備の導入が可能で、長期的に見れば1kWhあたりのコストを抑えることができます。特に燃料費の面では、集中購入による割引効果なども期待できます。

高度な制御技術が使える

集中型発電所は、精密な出力制御や電圧調整が可能な高度なシステムを備えているため、電力品質を維持しやすいという特長があります。これにより、産業用機器や医療機器など電力品質が重要な分野でも安心して利用できます。また、系統全体の電力需要と供給のバランスも緻密に調整できます。

広域への送電が可能

発電所から遠隔地までの送電を高電圧で行うことで、電力を効率的に広範囲に届けることができます。これにより、電力の供給が地理的条件に左右されず、山間部や離島などアクセスの難しい場所にも電力を届けることが可能となります。インフラ整備が行き届いていない地域への供給も支援できます。

環境対策が集中的にできる

集中型発電では、排出ガスや廃熱などの環境負荷を発電所単位で集中管理できます。これにより、集中的に排出対策を施すことが可能で、例えば排煙脱硫装置や排熱回収装置などの導入も容易になります。分散型と比較して、局所的な環境負荷の把握と対策が行いやすいのも利点です。

大都市への供給に向いている

電力需要の多い都市部では、安定かつ大量の電力供給が求められるため、集中型発電は非常に有効です。都市インフラや交通機関、ビル群などが一斉に電力を必要とする状況でも、大規模発電所からの供給で対応できます。都市計画やインフラ設計にもマッチしやすい方式です。

法制度や規制に対応しやすい

発電所の運営や電力供給には多くの法規制が関わりますが、集中型では事業者が限定されるため、法令遵守や安全管理を統一的に実施できます。分散型のように多数の小規模発電が乱立するよりも、規制の網をかけやすく、事故やトラブル時の責任の所在も明確です。

停電復旧が迅速に行える

発電と送電が明確に管理されているため、トラブル発生時の原因特定や復旧作業が比較的早く行えます。特に熟練の技術者が常駐している発電所では、障害対応のノウハウも豊富で、緊急時の復旧対応にも強みを持っています。分散型のように原因が不明瞭になるケースが少なく、社会インフラの信頼性を支える要因にもなります。

集中型電源のデメリット

上の表に出てきた各デメリットについてかんたんに解説します。

送電ロスが発生しやすい

発電所から離れた地域に電力を供給する際、送電距離が長くなるため、電力の損失(送電ロス)が発生します。これにより、発電量に比べて実際に利用される電力量が減少し、効率が低下します。特に高温や湿気の多い地域では、送電線の抵抗が高まりやすく、ロスが増加する傾向にあります。

災害時のリスクが大きい

集中型電源は一か所に発電能力が集約されているため、その発電所が災害や事故により停止すると、広範囲にわたって電力供給が途絶える可能性があります。例えば、地震や津波、台風などで発電所や変電所が被災した場合、その地域全体が長時間停電するリスクがあります。分散型に比べて「一極集中」の性質が災害リスクを増大させ、復旧までの時間も長引くことがあります。

初期投資が非常に大きい

集中型発電所は大規模なインフラ整備を必要とし、土地の確保、施設建設、送電網の構築に莫大な費用がかかります。加えて、建設期間も数年単位と長期にわたるため、投資回収までの期間も長くなります。特に原子力発電所や火力発電所では、環境アセスメントや地元との調整も必要で、さらにコストと時間が増加する要因となります。

地元住民との合意形成が難しい

発電所の建設予定地となった地域では、騒音、振動、景観破壊、放射線リスク(原子力の場合)などに対する住民の反対運動が起こることがあります。住民説明会や環境影響評価の実施により、時間と手間がかかり、計画が停滞するケースも少なくありません。社会的なコンセンサスを得るには、長期的な調整と信頼関係の構築が必要です。

柔軟性に欠ける

電力需要の急激な変化や局所的な増加に対して、集中型は迅速に対応することが難しいです。発電所の出力変更や送電の再編には時間がかかるため、突発的な需要増に対して供給が追いつかない可能性があります。また、再生可能エネルギーの導入など、新しい電力供給形態への対応が遅れる傾向にあります。

地域の自立性が損なわれる

集中型では発電が都市部や工業地帯に偏ることが多く、地方は「供給される側」にとどまります。これにより、地方が自らエネルギーを管理・生産する機会が減り、地域のエネルギー自立性が低下します。また、地域経済への恩恵も限られ、地元に雇用や産業が生まれにくいという問題も指摘されています。

トラブル時の影響が広範囲に及ぶ

発電所での機器故障やトラブルが発生した場合、その影響は一地域にとどまらず、広域にわたって電力供給に支障をきたす恐れがあります。例えば、周波数の乱れや電圧の急変が起きると、連鎖的に停電や設備トラブルが発生する可能性があります。これは分散型に比べて、リスクの集中度が高いという点で大きなデメリットです。

発電所の環境負荷が集中する

集中型発電所では、大量の排出ガス、温排水、廃棄物などが特定の地域に集中するため、その周辺地域の環境負荷が大きくなります。たとえば火力発電では、CO₂や窒素酸化物の排出が環境問題を引き起こし、住民の健康被害や生態系への影響が懸念されます。このように、環境問題が局所的に深刻化しやすい傾向があります。

老朽化によるリスクが高い

集中型発電所は長期間にわたって使用されるため、施設の老朽化が進むと事故や停止リスクが高まります。老朽化した設備の更新には大規模な改修工事が必要で、費用も膨大になります。また、更新作業中の一時停止が広範囲に影響を与える可能性があり、社会的にも大きな問題となり得ます。

再生可能エネルギーとの相性が悪い

集中型電源は基本的に化石燃料や原子力など、出力が安定している一方で、太陽光や風力といった出力が不安定な再生可能エネルギーとは統合しづらい傾向があります。再エネは小規模・分散型で設置されることが多いため、集中型の送電網に負担をかけることもあり、相互運用性の面で課題が多く残されています。

みんなの意見

賛成意見 反対意見
集中型電源は、水力・火力・原子力発電所等で、発電規模が大きく、建てられる場所が、電力消費地から距離がある、という特徴があります。

広い土地が必要とするため、地代コストの安い都市部から離れた所に大規模な発電所を作り、電気を作り、都市部に電気を引くので、万が一事故が起こった時にも、被害を小さくできます(原子力発電所は除きます)。

安定的に良質の電力を発電出来る事と、発電効率の良さ、発電所が地方になる為に、周辺地域の雇用等、地域の活性化に繋がるのは良い所であります。
集中型電源は、電力消費地から離れているので、送電ロスが発生します。発電所の設備だけでなく、発電所と電力消費地を繋ぐ、送電設備に投資が必要です。

広大な土地が必要な為、森林伐採や埋め立て地を作る等、発電所を作る為に自然破壊が起き、環境破壊に繋がる可能性を秘めています。

大規模は集中型電源はトラブルが起こり停止した時、代価になれる規模のモノを用意出来ないので、昨今の原子力停止問題のように政治経済に大きな影響が出ます。

更に、電力の安定供給に支障が出て、すぐに電気料金高騰などに繋がるなど、リスクも大きい設備なのは悪い所です。
集中型電源は、原発事故以来叫ばれている分散型電源に対する言葉で、現在の電力を支えているのは、この集中型電源です。分散型電源がベストで、集中型電源は悪の様に言われますが、利点はないのでしょうか。

まず、集中型電源は、集中ゆえに同一方式の発電ならその効率を高めることが出来ます。それは大型プラントになれば、効率を高める技術を投入しても、その費用比率が相対的に下がり、経済的に可能だからです。

また、少し専門的ですが、電源の負荷変動、位相のづれに対応する質の良い電力を作る対策も同様です。火力発電における環境対策も同様です。

更に、集中型電源は、発電運転中に常に遠隔監視し、異常をチェックする体勢を取れます。これもチェック機器やチェック人員をかけても、費用比率が相対的に下がるからです。また、運転中のメンテナンスもしかりです。
集中型電源は、発電効率は分散型電源より良いのですが、発電所から遠くの消費地に送電する際に大きな送電ロスを発生させる欠点があります。

従って、発電効率と送電ロスをあわせて考えると、効率の悪い分散型電源でも経済的に実用化できる可能性があるのです。

また、万が一、事故等で発電ができなくなれば、その影響は非常に広範囲な地域に影響を及ぼしてしまいます。集中型電源にも、多くの課題はありますが、上記の利点も多く、分散型電源がベストと言うわけではありません。

集中型電源と分散型電源が並存し、そのベストミックスを追及すべきで、電力の地産地消は幻想に過ぎません。
集中型電源の最大のメリットは、発電効率でしょう。メリットというより、分散型電源に比べてデメリットが少ないということかもしれません。

とにかく、現在の発電機は燃料を燃やしたエネルギーを全部使うことができないのがネックで、最新の大規模な設備を用いることで、ようやく発電効率が50%を超えてきます。

最新鋭の発電設備でも50%そこそこしかないのですから、分散型電源で用いられるような小規模な発電機のような比較的安価な設備を使うと、元々高くない発電効率を更に下げてしまい、エネルギーを無駄にしていると思います。
集中型電源のデメリットは、災害時の対応だと思います。いくら発電所で電気を作っても、それを需要地に運べなければ意味がありません。分散型電源は現地で発電を行うため、送電網の寸断に対しても比較的頑強です。

また、集中型電源を前提とするなら、災害時の停電対策は基本的に電力業界単独の取り組みとなり、各自治体としては、電力会社への働きかけといった間接的な手段以外に打つ手がなくなってしまいます。

分散型電源なら、個々の自治体が政策として災害対策を行うことができます。